検討会であいさつする警察庁の檜垣重臣生活安全局長(30日、東京都千代田区)

関東を中心に太陽光ケーブルなどの金属を狙った盗難被害が多発していることを受け、警察庁は30日、対策を議論する検討会の初会合を開いた。盗まれた鉄くずの売買時の身分確認強化や犯行に用いられる特殊器具の使用について、今後関係法令の改正や新法の制定も視野に議論する。

同庁の檜垣重臣生活安全局長は同日、「盗品の流通防止や犯行に使用される道具に関する法規制の在り方も含めた対策を検討頂きたい」と述べた。

検討会は学識者のほか金属のリサイクルに関わる業界関係者などで構成。同庁によると、金属盗の認知件数は2020年から急増し、23年は20年比で約3倍の1万6276件、24年1〜6月も1万758件(暫定値)で前年を上回るペースだ。

目立つのが銅線など太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗。24年1〜6月は4161件で、約9割が栃木、群馬、茨城、千葉など関東に集中する。警察幹部は「発電施設は全国にあり、同様の手口が広がらないよう早期に手を打つ必要がある」と強調する。

金属を狙う窃盗事件では不法滞在している外国人グループの関与が目立ち、実行役にSNS経由で物品や盗品の横流しを伝える指示役が存在しているとみられる。警察庁は事件ごとに離合集散を繰り返す匿名・流動型犯罪グループに位置づけられるとみて実態解明を進める。

対策の焦点の一つが盗品の流通経路の解明に向けた法整備だ。盗まれた銅線は産業廃棄物の「金属くず」に当たり、中古品を売買する際に身分確認を義務付ける古物営業法の対象から外れる。確認を義務付ける条例を独自に制定する自治体もあるがばらつきがあり、全国的な法規制の必要性が高まっている。

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