公開されたiPS心臓(下)と拍動するiPS心筋シート=大阪府吹田市の大阪大で2024年9月30日午後5時14分、滝川大貴撮影

 大阪大の澤芳樹特任教授(心臓血管外科)らは30日、2025年大阪・関西万博の展示の目玉の一つとされる、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったミニ心臓を報道陣に公開した。人材派遣会社パソナグループのパビリオンで、拍動する様子を展示する方針だ。

 公開された「iPS心臓」は直径約3センチで、約2~3億個のiPS細胞が使われている。展示に向けてさらに大きくするという。ドクドクと脈を打つように自ら拍動するが、血液を循環させる心臓としての機能は備えていない。澤教授は「実際に機能するためには、まだまだブレークスルー(飛躍的な進歩)が必要だ」と説明した。

「iPS心臓」の展示イメージ=パソナグループ提供

 澤教授が最高技術責任者を務めるベンチャー企業「クオリプス」が開発を進める。澤教授らはすでに、iPS細胞を心筋細胞に分化させ、シート状に加工した「心筋シート」の開発に成功。虚血性心筋症の患者の心臓に貼り付ける治験も実施している。この拍動する心筋シートも展示する。

 パビリオン内では、手塚治虫さんの漫画「ブラック・ジャック」と「鉄腕アトム」のキャラクターが案内する演出を行う。澤教授は「命の根源、けなげさ、いたいけさを感じる。エネルギーとともに命の息吹を感じてもらえるのでは」と展示への期待を語った。【菅沼舞】

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