判決後、記者会見する原告側代理人の板井俊介弁護士㊨(2日午後、福岡市)=共同

2015年、陸上自衛隊西部方面隊の男性陸士長(当時22)が自殺したのは教官のパワハラが原因だとして、熊本市の両親が教官2人と国に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は2日、計約6700万円の支払いを命じた。国に220万円の支払いを命じた一審・熊本地裁判決から大幅に増額した。

新谷晋司裁判長は、陸士長が違法な指導で受けた心理的負荷は強く、自殺は予見可能だったと指摘。一審判決同様、教官2人への請求は退けた。

22年1月の一審判決はパワハラが自殺につながったと認めた一方、教官らによるパワハラに当たる指導は3時間弱と短時間だったことなどから、自殺の予測は困難だったと判断していた。

原告側の代理人弁護士は「教官の役割で命を奪うことなどあってはならない。国には教官の管理義務がある」とする母親のコメントを発表した。

西部方面隊は「関係機関と十分調整した上で適切に対応する」とした。

判決によると、教官2人は停職の懲戒処分を受けた。陸士長の自殺は公務災害に認定された。〔共同〕

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