コンビニエンスストアの酒売り場=東京都港区で2020年1月9日、本橋敦子撮影

 「まず、ビールで乾杯」が酒場の定番だったが、最近は多様化している。民間の調査会社が20代男女を対象に、ここ10年の飲酒傾向を調査したところ、「サワー・チューハイ」や「ハイボール」の伸長が目立った。若者の「酒離れ」が進んでいるといわれる一方で、自身の趣向に合わせ、多様なお酒を楽しむ人も増えているようだ。

 調査会社のインテージ(東京都千代田区)が自宅と自宅外で飲むお酒の種類について、2013~23年に調査した結果をまとめた。

サワー・チューハイとビールどちらが人気?

 自宅で飲むお酒について、複数回答で13年に最も多かったのは「サワー・チューハイ」(50・0%)で、次いで「ビール・発泡酒・第3のビール」(49・7%)だった。23年でも「サワー・チューハイ」がトップで、13年比17・4ポイント増の67・4%と大きく伸びた。逆に「ビール・発泡酒・第3のビール」は7・9ポイント減の41・8%にとどまった。13年には調査品目の対象になっていなかったハイボールは17・8%で、日本酒(15・7%)や焼酎(7・5%)を上回った。

 自宅外では、13年のトップは「ビール・発泡酒・第3のビール」(60・6%)で、「サワー・チューハイ」(58・0%)をわずかな差で上回っていた。

 23年は逆転し、1位の「サワー・チューハイ」(69・8%)が2位の「ビール・発泡酒・第3のビール」(49・1%)に20ポイントの差をつけた。ハイボールは31・6%で一定の割合を占めている。

 自宅と自宅外でトップの結果が異なった13年に対し、23年は一致した。インテージの担当者は「飲みたいお酒を自由に注文しやすい風潮がより広がっている」と分析する。酒の好みの多様化が進むとともに、それを尊重する考え方が浸透しつつあることやアルハラ(アルコールハラスメント)が迷惑行為として認識されるようになったことが背景にあるようだ。

購買量はハイボールが大きな伸び

 さらに20代の酒の購買量から、お酒のトレンドについて考察した。

 拡大傾向なのは、ウイスキー▽チューハイ(アルコール度数4~6%台、7%以上)▽ハイボール――で、特にこの10年で定番となったハイボールは18・1%増と高い成長率を見せた。

 チューハイのうちアルコール度数が7%以上の「ストロング」と呼ばれる商品については21年以降縮小している。健康志向の高まりなどを受け、今後のチューハイ市場は「4~6%台の中アルコールがリードするのでは」(インテージ担当者)とみている。【嶋田夕子】

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