名古屋高裁が入る名古屋高地裁合同庁舎

 三重大大学院工学研究科の女性准教授が、同科の教授らにハラスメント行為を受けたとして、三重大に約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁の長谷川恭弘裁判長(朝日貴浩裁判長代読)は3日、原告の訴えを棄却した1審・津地裁の判決を変更し、一部の行為をハラスメントと認め、同大に110万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2008年4月、三重大大学院工学研究科の助教として採用された。当時の大学の規則では工学研究科の助教を採用する場合、任期を定めることができなかったが、採用面接を担当した教授らが、それを認識しながら5年の任期付きの契約を締結。その後、女性は任期が定められないことに気づいて雇用継続されたが、長谷川裁判長は「(女性の)地位が不安定な状況に置かれた」と指摘した。

 また、同大が女性の執務室に、災害時の被災状況をモニタリングするためのカメラを設置。だが、女性にそのことを説明せず、同大以外の第三者も閲覧できる状況になっていたとし「プライバシーを不当に侵害する」と認定した。

 同大は「判決文などが手元に届いていないのでコメントは差し控える」と話した。【道下寛子】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。