豪雨によって石川県の奥能登各地は大きな被害を受けた。輪島市町野町は当初、孤立集落となり、今は一部の道が啓開された。しかし町のあちこちに正月の地震から続く災害の傷痕が残っている。「聞いてほしいことがある」と、自宅で暮らす広江清さん(84)が切実な思いを記者に訴えた。【聞き手・森田采花、山口起儀】
地震に豪雨 復興スピード上げて
元日の地震後、道路の通行止めや片側通行が多くなった。今回の豪雨もあり一向に解消されない。高齢者の多い地域で、車の運転がますますしにくい道になった。道が悪いから国や行政の人が来ることも少ない。復興が遅れている。ここに住む人は国に見放されたと思っている。町野町は地震の被害もひどく、家は全然直っていない。道が悪く、なかなか業者も来られないからだ。まずは道の整備をお願いしたい。
もう一つは情報。(携帯電話基地局が止まって)電波がないから情報収集できない。断水が続くが、近くの中学校に給水車が来ているのを知らなかった。今度は物資が届くらしいが、妻がたまたま近所の人から聞いた。私は車いすで、車に乗れるのは妻だけだが、妻も高齢だ。スマホなんかうまく使いこなせないし、そういう家が多い。仮設住宅や避難所だけでなく、自宅にいる高齢者にも正しい情報が行き渡るようにしてほしい。
能登の災害復興は国の最重要課題の一つなのに、9カ月たっても壊れたままの建物が多く、復興のスピードが他の災害に比べて格段に遅く感じる。補正予算を組むなどして、スピード感を持って真剣に取り組んでほしい。
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