長年の射撃訓練で難聴を発症し、適切な対処を受けられず聴力が悪化したとして、陸上自衛隊北部方面総監部に所属する中村俊太郎さん(50)が、国に約9200万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。4日に札幌市内で記者会見した中村さんは、「周囲でも職業性難聴を患う隊員は多い。隊員が年2回の精密な健診を受け、適切な配慮を受けられるようになってほしい」と訴えた。
提訴は7月25日付。訴状などによると、中村さんは1993年に入隊後、射撃訓練の衝撃音で耳鳴りを覚えはじめ、2021年に後遺障害9級相当と診断され公務災害の認定を受けた。現在は補聴器なしでは生活が難しいというが、陸自は射撃など騒音業務を行う隊員に対し必要な検査を怠り、遮音率の高い耳栓を支給せず、被害防止の教育も不十分だとしている。
陸自幕僚監部は「係争中の訴訟に関することは答えられない」としている。【後藤佳怜】
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