「イット!」でこれまで、給料の見払いにより大量の職員が辞めてしまった都内の老人ホームの悲惨な状況をお伝えしてきた追跡取材「“見捨てられた”老人ホーム」第3弾。
職員数人で90人もの入居者のケアをしている都内の老人ホームの状況を伝えたが、そのような事態が千葉県の老人ホームでも起きていることが判明した。

千葉市内にも“見捨てられた”老人ホームが

千葉市内の老人ホームで撮影された映像には、入居者やスタッフの姿もない、がらんとした施設内の様子が撮影されていた。

千葉市の老人ホームの脱衣所は雑然としていた
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そして洗濯機が並んだ脱衣所は、床にバケツなどが放置されるなど雑然としていた。

新たに発覚した“見捨てられた”老人ホーム。
「イット!」は、東京・足立区にある住宅型有料老人ホームを取材し、90人以上の入居者を残し30人近くのスタッフが大量退職したと元職員は明かしていた。

東京・足立区の老人ホーム元職員は30人近くのスタッフが大量退職したと証言(2日)

元職員(2日):
9月30日に給料が支払われなくて、職員がどんどん辞めてしまっている状況で。

職員が一斉退職した理由は、給料の見払い。

さまざまなものが散乱した東京・足立区の施設(映像提供:施設関係者)

職員が去った影響なのか、問題の施設内の廊下は、白湯(さゆ)と薬が並べられた机が放置されるなど、さまざまなものが散乱していた。

7日、あらためてこの老人ホームを訪ねると、入居している母親の様子を見に来た人がいた。

入居している母親から「2週間風呂に入っていない」と聞かされた家族

入居者の家族:
(母の部屋に)入った時にびっくりしたのは、顔中脂っぽくて、髪もフケだらけだったので、「お風呂どのくらい入ってないの?」って聞いたら、「2週間入ってない」って言われてしまったので心が痛みました。それまでは週2回お風呂入っていて、「気持ちいい」って言ってたので、かわいそうだなって。

運営会社社長は「法務対応」の一点張り

「施設を閉鎖する」という張り紙を残し、姿を消した運営会社の社長。
「イット!」は、その社長を群馬県内で発見、本人を直撃した。

運営会社の社長は「法務対応する」との一点張り

ーーご自身の気持ち的には?
老人ホームの運営会社社長(3日、群馬県内):

基本的には法務対応をベースとしてやっていきますので。

ーー感情的には「何か申し訳ない」とか、「心配だな」とか、そういった感覚はないんですか?
老人ホームの運営会社社長(3日、群馬県内):

ここに関しても、本当に現状としては法務対応なので、弁護士の方と話をして、法務対応をやっていこうと思っています。

「法務対応する」と一点張りの社長。
大きな反響を呼び、さらなる情報が「イット!」に寄せられた。

そして、新たに千葉市内でも“見捨てられた老人ホーム”の問題が起きていることが判明した。

職員が一斉退職し閉鎖された千葉市内の老人ホーム

千葉市内の老人ホームでも急きょ施設が閉鎖され、もともといたスタッフは現在おらず、今もなお、40人ほどの入居者が残されているが、市のスタッフなどが現在、入居者約40人の移転先を探しているという。

施設内にはゴミが放置された状況で一室が臨時ゴミ捨て場に

千葉市内の老人ホームでも、9月30日に給料の支払いが滞り、職員が一斉に退職したという。
そのため施設内は、ゴミが放置された状況で、ゴミの回収業者も来なくなったため、1部屋が臨時のゴミ捨て場になっていた。

元職員は、給料の未払いが原因で、スタッフの数は不安定だったと話す。

元職員は給料の未払いでスタッフが徐々に減ったと話した

元職員:
(スタッフは)徐々に減っていっていると思います。施設長とか副施設長とかが辞めていったりとか、施設長になってもすぐ辞めてしまったりとか。上に立つ人たちが、やはり頻繁に変わっていくというところで、不安・不信というところがあったんだと思います。

別の元職員は、内情をこう話す。

別の職員も「ご飯の量を減らさないといけない」と聞いていた

別の元職員:
掃除がとにかくちゃんとされていなかったので、新しい建物なのに汚いなというのが正直なところでしたよね。ご飯も厨房(ちゅうぼう)の方にお金が支払われていない。2〜3カ月支払われていないとか。「ご飯の量を減らさないといけない」っていう話を聞きました。 

入居者は、どう感じているのだろうか?

夫が入居しているという70代の妻はこう訴えている。

夫が入居している妻は、おむつや布団も全然交換されていないと話した

夫が入居している妻(70代):
うちのお父さん、“胃ろう”なんで食べれないんですよね、口から。それでもパン食べさせられたり。いろいろおむつも全然交換してない。シーツも取り替えないので、びっちゃびちゃ。布団も汚くても取り替えない。(スタッフの)誰に聞いても、『知らない、知らない、知らない』(と言われる)。

 専門家は、こういった問題を抱えた施設は増加しているとしている。

淑徳大学総合福祉学部・結城康博教授はこのような問題は“日常茶飯事”と話す

淑徳大学総合福祉学部・結城康博教授:
今、こういう問題は、実は日常茶飯事で。(働く)人がいないから最低限の食事を与えるぐらいだけのというのは、ちらほら出てきています。悪い事業所に関しては、早く役所が立ち入りして指導する、それが一番大事。

千葉市の保健福祉局によると、現在は臨時的な処置として、ケアマネージャーを施設に派遣し、まずは入居者の退去を支援していく方針だという。
(「イット!」10月7日放送より)

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