NHKのラジオ国際放送で中国人スタッフが不適切な発言をした事態を受けて引責辞任した傍田(そばた)賢治前理事が、NHKメディア総局のエグゼクティブ・プロデューサーとして再雇用された問題で、稲葉延雄NHK会長は16日の定例記者会見で「(理事辞任で)責任を取る形を作れた。そのことと、(傍田氏)本人の能力をどう使うかは全く別の問題」と述べ、再雇用を肯定する見解を示した。
中国人スタッフが沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土」などと生放送で発言した問題で、同局は9月10日、傍田氏の辞任や、会長ら役員が報酬の一部を返納する処分を発表。その1週間後に、傍田氏が契約職員として復帰したことが毎日新聞の報道で明らかになった。局内外から「辞任後わずかな期間での再雇用で『偽装辞任』だ」などと批判の声が上がっている。
稲葉会長は「前提として契約職員の再雇用は人事局の判断」とした上で、役員の責任の取り方について、法的ルールへの順守態度が甘かったなど「組織の信頼を大きく損なったケース」と、「限定的な業務範囲での失態の責任を取るケース」があると説明。今回は後者に当たるとし、「本人の特性を踏まえ、ふさわしい職があると考えた場合は熟慮の上、NHK側から(辞任した役員に)再雇用を提示することはあってもよい」と述べた。【諸隈美紗稀、井上知大】
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