「お宅の屋根にひびが入っているようです」-。突然民家を訪問して、言葉巧みにリフォームの営業をかける「点検商法」が沖縄県内で増えている。県消費生活センターによると、昨年1年間で1件だった屋根工事に関する相談が今年に入り、22日時点で12件と急増。9月に不審な訪問営業を受けた60代男性が本紙取材に応じ、「関東の強盗事件のような、下見行為ではないか」と不安を口にした。(社会部・玉那覇長輝)
本島中部、サトウキビ畑に近い閑静な住宅街。9月、60代の夫婦が住む民家のチャイムが鳴った。「近くで工事をしている者です」。名前も会社名も名乗らない作業服の男2人組に、男性は玄関のドアを開けた。妻は出かけており、1人だった。
「親方に言われて、屋根のコンクリートが壊れているのを教えに来ました。こっちに来てください」。言われるがままに、外へ出ると、男は「あそこの屋根にひびが入っています」と屋上の方を指さした。
2階建ての民家で屋根が見えるわけもなく、すぐに怪しいと思った。少し離れた所に仲間と思われる別の男が座っている。中に侵入されたら怖いと思い、玄関口から目を離さなかった。
「点検しませんか?」と持ちかけられたが、3年前に防水工事をしたと説明し断った。後日、気になって別の業者に屋根を見てもらうと、屋根にひびは入ってなかったという。
記者が民家の周辺を取材すると、少なくとも2軒で同様の訪問営業があり、家族構成を聞かれた人もいた。
県警にもリフォーム営業に関する相談が複数寄せられている。県警は「名刺や書面で相手の確認を徹底し、不審に思った際は通報して」と呼びかける。
関東で起きた連続強盗事件では、数カ月前に不審な業者が付近の住宅を訪ね、下見をしていたとみられる。捜査関係者は「会話の中で個人情報を奪われる恐れがある。業者を装った下見であれば、強盗や特殊詐欺の事件に発展する可能性もある」と指摘した。
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