船に載せられ、紀伊水道沖に運ばれるマッコウクジラ。この後沈められた=2023年1月19日午後2時32分、本社ヘリから

 2023年1月に大阪湾で死んだマッコウクジラを巡り、大阪市監査委員は26日、市が海運業者に支払った死骸処理費用8019万円には不要な支出が含まれている疑いがあるとして、横山英幸市長に契約手続きなどを再調査するよう勧告した。契約は競争入札や相見積もりを経ない特名随意契約で、処理費用も市の当初の積算額から約2倍に増えているとして、市民団体が2月に住民監査請求をしていた。

 通知書によると、クジラは23年1月9日に淀川河口付近で発見された。全長約15メートル、体重約40トンで「淀ちゃん」と呼ばれたが、同13日には死んでいるのが確認された。死骸は埋設が一般的だが、市は腐敗でガスがたまって爆発する恐れがあり、埋設場所も短期間で用意できないとして海洋投棄を選択。市内の海運業者に依頼して、同19日、死骸を作業船で紀伊水道沖まで運んで沈めた。

 処理費用について業者は当初、8625万円の見積もりを提示。一方、大阪港湾局は市の積算基準に基づきいったんは3774万円と積算したが、最終的には8019万円で契約した。

 市監査委員は、十分な検討がないまま埋設より費用が高い海洋投棄が決められ、業者選定にも疑義があると指摘。処理費についても、公共工事の積算基準ではなく業者側の見積もりを適用したことや、作業船の費用の積算方法の正当性は再調査すべきだとした。

 勧告を受けた横山市長は26日、報道陣に対して「これまでのチェック体制は100点満点ではなかった」と述べ、弁護士らでつくるチームを新たに立ち上げて再調査する方針を明らかにした。業者との契約を巡っては、市契約管財局も手続きに不適切な点がなかったかなどを調査している。【鈴木拓也】

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