薬師寺の回廊西北角の発掘現場で、確認された礎石の据え付け穴などの上に立つ関係者ら(7日午前、奈良市)=共同

薬師寺(奈良市)と奈良文化財研究所は7日、回廊西北角の発掘現場を報道陣に公開した。西回廊の北端が判明し、東回廊より2メートル長いことが分かった。1015年の寺の記録「薬師寺縁起」でも「東面24間、西面25間」と記されていた。

調査した都城発掘調査部考古第1研究室の和田一之輔室長は「回廊が東西非対称であることは寺の記録に記されていたが、誤記の可能性が指摘されていた」とし「記録の正確さを示したが、非対称とした理由は今後、解き明かしたい」と話した。

調査で西回廊の長さは25柱間(約115メートル)の可能性が高まった。東回廊は24柱間(約113メートル)と推測されるため左右非対称となる。

古代寺院で回廊が非対称となる造りは珍しいといい、同研究所は「当時の高い測量技術では、東西を均等に建てることが可能だったはず。設計段階から何らかの意図により差を持たせたのではないか」としている。

また、礎石が据え付けられていた穴や、抜き取る際の穴を16個確認。ほとんどが創建時のもので、火災などにより再建された際も同位置に建てられたとみられるという。

同研究所はこれまで主要堂塔や回廊の大部分を発掘。未着手だった回廊西北角や、鐘楼の調査を9月から進めていた。

現地説明会は9日午前11時からで、拝観料が必要。〔共同〕

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