年明け早々の1月8日にダウンタウンの松本人志さん(61)が芸能活動休止を発表してから10カ月がたった11月8日、事態が大きく動きました。

自身の性加害を報じた「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、「週刊文春」側に約5億5000万円の損害賠償と記事の訂正を求める訴えを起こした松本さん。

ところが8日、松本さん側が訴えを取り下げたことが明らかになりました。

午後5時過ぎ、松本さんは吉本興業を通じてコメントを発表しました。

松本人志コメント(吉本興業HPより):
これまで、松本人志は裁判を進めるなかで、関係者と協議等を続けてまいりましたが、松本が訴えている内容等に関し、強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました。そのうえで、裁判を進めることで、これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をお掛けすることは避けたいと考え、訴えを取り下げることといたしました。松本において、かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます。尚、相手方との間において、金銭の授受は一切ありませんし、それ以外の方々との間においても同様です。この間の一連の出来事により、長年支えていただいたファンの皆様、関係者の皆様、多くの後輩芸人の皆さんに多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことをお詫びいたします。どうか今後とも応援して下さいますよう、よろしくお願いいたします。

女性に対する行為の強制性を示す物的証拠はなかったとしつつも、相手に対する謝罪の意思を示した松本さん。

東京・渋谷駅前では、大型ビジョンに流れる松本人志さんに関するニュース速報について「裁判ってすごく長い。ばかばかしくなったっていうかという考えなのかなと思った」「(女性側と)和解が成立したとか?」「(Q.すぐに応援したい?)したい、応援したい」「(結果がどうであれ、応援する?)うん!」といった声が聞かれました。

そして、大阪市でも「え?たたかうのをやめたってことですか?やっぱりもう早く、表側に出てきたいのかなと」「なんで今になってって感じですね」「戻ってこられるなら戻ってきてほしい」「イメージがついちゃうから…」「でも、そういうイメージばかりでないから戻ってきてほしい」と復帰を願う声が聞かれました。

これまで互いの主張が真っ向からぶつかる中での急展開、一体、何があったのでしょうか。

問題の発端となったのは、2023年12月に発売された「週刊文春」の「松本人志と恐怖の一夜」と見出しがついた記事。
2015年に都内のホテルで、松本さんから性加害を受けたとする2人の女性の証言が報じられたのです。

記事の中で、女性の1人は、松本さんと寝室に2人きりにされ、突然キスをされるなどの性的行為を迫られたと訴えていました。

この記事について、松本さんが所属する吉本興業は、当時、「当該事実は一切なく今後、法的措置を検討していく」などと反論。
松本さんも自らのSNSで「事実無根なので闘いまーす。」と宣言し、その後、裁判に注力するため芸能活動を休止すると発表しました。

ところが、8月14日に非公開で行われる予定だった弁論準備の期日は延期となりました。

関係者によりますと、これまで松本さん側と「週刊文春」側で和解を視野に協議が続けられていたといいます。

11月11日には次の審理が行われることが決まっていましたが、その3日前の11月8日、事態が急展開。
松本さん側が「週刊文春」側に対する訴えの取り下げに動いたのです。

松本さん側から提案されたという訴えの取り下げには、どんな理由があったのでしょうか。

元「週刊文春」記者のジャーナリスト・中村竜太郎さんは次のような見方をしています。

ジャーナリスト・中村竜太郎さん:
やはり背景にあるのは松本さんが 「芸能界に復帰したい」という思い。取り下げというのは “松本さんの意思”が強く反映されている。

訴えの取り下げは、松本さんの意思を強く反映したものではないかと推測した上で、次のような指摘もしています。

ジャーナリスト・中村竜太郎さん:
どういう背景があったかは、私のこれまでの経験とか取材から話をしているが、舞台裏としては“当初の白黒ハッキリつける”というところから変わってきたのは間違いない。

突然の訴え取り下げ発表に、街からは「そうなんですか、知らないです。そもそも裁判という手段で闘わなくなったのかなと思って。他の手段はどういうのを取っていく、どうするんだろうって感じです」「認めたってことじゃないですかね。ちょっと見方は変わっちゃうかもですけど、被害者女性とかファンとか、そういう方に謝罪をして、自分が悪かったという意思を見せれば一番大事かなと思う」と、さまざまな声が上がりました。

関係者によると、松本さんは周囲に「早く仕事がしたい」などと話していたといいます。

松本さん側からの訴え取り下げの提案を受け、数カ月にわたって「週刊文春」側との水面下での交渉が行われたといいます。

今回のポイントは、裁判の当事者である原告と被告が裁判所を通して互いに譲歩する“和解”ではなく、訴え自体の“取り下げ”であるという点です。

法律上、訴訟を取り下げるためには、松本さん側の意思だけでなく被告である「週刊文春」側の同意が必要です。

当初、「週刊文春」側は、被害を訴えた女性への謝罪と謝罪した事実を公表することを取り下げの条件としたといいます。

しかし、松本さん側が「その条件はのめない」として綱引き状態へ。

その後、謝罪の方法や公表する謝罪文の文言などを巡り、細かな調整が続けられ、7日夜、松本さんが謝罪文の内容に同意したといいます。

弁護士によると、訴えを取り下げるにあたり、被告である「週刊文春」側が原告である松本さん側に条件を提示して交渉するのは珍しいケースだといいます。

訴えの取り下げを受けて「週刊文春」もコメントを発表しました。

週刊文春コメント:
本日お知らせした訴訟に関しましては、原告代理人から、心を痛められた方々に対するお詫びを公表したいとの連絡があり、女性らと協議のうえ、被告として取下げに同意することにしました。なお、この取下げに際して、金銭の授受等が一切なかったことはお知らせのとおりです。

また、吉本興業は、松本さんの活動再開について「関係各所と相談の上、決まり次第お知らせする」としています。

中村竜太郎さんは、次のように見ています。

ジャーナリスト・中村竜太郎さん:
復帰のタイミングで考えられるのは、年をまたいでじゃないかと思う。M1の審査員でカムバックするのがすごくしっくりくる気がする。会見をするべきかどうかというのは判断がつきかねる。今回の報道を受けて、世間がどう判断するか。相方である浜田さんが、これまで通り活躍されてるし、大きなところとすればテレビ、あるいはお客さんが見に来るステージ。そういうところで芸能活動を始めるか。

今後の動向が注目されます。

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