二重まぶたにする手術をはじめとした美容医療に関する広告をインターネットなどで目にする機会が増えた。美容医療が以前よりも身近になった反面、消費者からの相談件数は全国的に増加傾向となっており、北海道立消費生活センター(札幌市)が、安易な契約に警鐘を鳴らしている。【谷口拓未】
道立センターに消費者から寄せられた美容医療に関する相談は、2021年度の17件が22年度に30件、23年度に28件となった。24年度(7日現在)はすでに23件となっている。
全国的にみても、約1200カ所の消費生活センターなどに21年度に2784件、22年度に3798件、23年度に6264件の相談があった。
道立センターに寄せられた相談事例の一つが、母親から寄せられた高校生の娘を巡るトラブルだ。
SNS(ネット交流サービス)で二重まぶたにする施術が1万5000円との広告を目にした娘が受診を希望。親子で美容外科に出向くと、医師は「安価なプランでは希望する状態にならない」と語り、40万円のプランを提案。親子はその後、30万円への値下げを示され、契約した。
親子は3日後、手術前に高額と思い直して解約を求め、違約金を支払ったにもかかわらず、予定日に返金されなかった。相談を受けた道立センターが対応すると、美容外科は「手続きにミスがあった」として返金に応じ、違約金も辞退したという。
近年は成人だけでなく、多感な年ごろの未成年者まで、SNSなどを通じて美容医療の広告や口コミに触れる機会が増えている。
道立センターへの相談は、カウンセリングだけのはずが「その日のうちに施術をするならば割引がある」などと誘われて契約、施術に至るケースもあった。全国的には「腫れが引かない」など、術後のトラブルに関する相談も寄せられている。
道立センターは、当日の契約や施術をその場で決めずに周囲への相談▽医師からリスクや副作用の説明を受けて確認して判断――などを呼びかけ、「困ったことがあれば窓口で相談してほしい」としている。
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