1月の能登半島地震で被災した石川県珠洲市の小学4年、井田旭陽さん(9)は、夏休みの自由研究で災害時に役立つトイレについて調べた。
このリポートが、トイレを切り口に社会を良い方向へ変える取り組みとして、NPO法人「日本トイレ研究所」から表彰された。
NPOは、11月10日(いいトイレの日)~19日(世界トイレの日)を、排せつとトイレを考える「トイレweek」と銘打つ。これに先駆けて8日、東京都内で「日本トイレ大賞2024」の表彰式が開かれ、特別賞を受賞した井田さんがオンラインで、研究内容を発表した。
1月1日は井田さんの誕生日で、家族にお祝いしてもらった後、自宅で激しい揺れに見舞われ、すぐに大津波警報が発令された。
高台に避難するなどして家族は全員無事だったものの、自宅は停電していたため2週間、避難所で生活した。
避難所の仮設トイレは「臭かったです」。停電が解消して自宅に戻ったものの、断水は続いており、便器に袋をかぶせて用を足した。その際、犬や猫などの尿を吸収するペットシーツが役に立った。
1月下旬に授業は再開したが、小学校は仮設トイレでしのいでいた。据え置きタイプに代わって移動式のトイレカーが導入されると、「臭さが気にならず、毎日、トイレカーのお世話になりました」。
流れる際の音を聞き、円を描くような水流を見ると、「気持ちもすっきりする」ことから、元々トイレが好きだったという井田さん、友達、先生、避難所で生活する人に「どの仮設トイレが好きか」をアンケートした。
据え置きのボックス型は3人、コンテナ型も5人だった一方、トイレカーは44人にのぼった。「広い、きれい」「普通のトイレと同じ」「臭くない」などと高評価で、これらをリポートにまとめた。
9月の能登豪雨では、自宅の浸水を免れたものの、下水に詰まったゴミが原因で、2階のトイレは今も使えない。専門業者に修理をお願いしているが、順番待ちの状態だ。「地震だけでなく水害でもトイレが使えなくなるとは思いませんでした」
地震と豪雨に見舞われ、トイレのありがたみを肌で感じた。そして、更に興味を抱くようにもなった。
小学校のグラウンドに、仮設住宅が造られた際は、業者にお願いしてトイレの設置作業を見学するだけにとどまらず、手伝った。
井田さんは、その後、微生物の働きで排せつ物を分解する「バイオトイレ」も調べ、仕組みに驚いたという。表彰式では「(これから先)どんなトイレがでてくるのか、楽しみです」と、発表を締めくくった。【御園生枝里】
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