世界気象機関(WMO)は11日、今年の気候についての暫定的な報告書で、今年の世界の平均気温は観測史上最も高く、2015~24年は観測記録のある175年間で「最も暑い10年」になるとの見通しを示した。
報告書は、アゼルバイジャン・バクーで同日開幕した国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に合わせて公表された。
WMOによると、主要な温室効果ガス、二酸化炭素(CO2)の世界平均濃度は23年に420㏙(ppmは100万分の1)で過去最高を更新した。これまでの観測結果から、今年の濃度は23年を上回る見通しだという。
温暖化に加え、太平洋赤道域東部の海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」の影響で、今年1~9月の気温は産業革命前の水準より1・54度高かった。WMOはこうした結果から、一時的に1・5度上回り、観測史上最も暑い1年になるとしている。
21年に英グラスゴーで開催されたCOP26では、気温上昇を1・5度に抑えることを事実上の世界共通目標にすることに合意した。温暖化の程度を判断するには、長期的な気温の状態を見る必要があり、WMOは、現状は産業革命前より約1・3度高い状態にあるとしている。
WMOのサウロ事務局長は「月、年単位で1・5度を超えても、目標が達成できなかったとは言えない。だが、1・5度を下回ろうと上回ろうと、温暖化が進むごとに異常気象やリスクは増える。早急に温室効果ガス排出を減らす必要がある」と対策強化を呼びかけた。【バクー山口智】
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