公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 ダンプカーやゴミ収集車など特別な装備や改造を施した「特装車」の納入を巡りカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は12日、特装車を製造・販売する二つの企業グループ、計4社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。

 公取委は総額1000億円を超える規模の取引で不正が行われていたとみて追及する。カルテルの背景には、鋼材など原材料価格の高騰で利益が圧迫されていた経営状況があったとみられている。

 立ち入り先の二つのグループは、一つが新明和工業(兵庫県宝塚市)と100%子会社の東邦車輛(横浜市)、もう一つが極東開発工業(大阪市)と100%子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)。4社は遅くとも2020年以降、自動車メーカーや自治体などに特装車を納入する際、協調して販売価格を不当に引き上げていた疑いが持たれている。

 4社はダンプカーなら可動式の荷台部分、ゴミ収集車ならゴミをプレスして貯蔵する部分を製造してシャシー(車台)に取り付け、完成した特装車を販売している。特にダンプカーとゴミ収集車、タンクローリー、トレーラーの4車種については寡占状態という。

 4社のうち新明和工業は23年にも、機械式駐車場の設備納入で談合を繰り返した疑いで公取委の立ち入り検査を受けていた。【渡辺暢】

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