ホストクラブでの飲食代を稼がせるために女性客に売春をさせようとしたとして、警視庁保安課は13日、東京・歌舞伎町のホストクラブ「GRAN」のホスト、田中大亮容疑者(24)=東京都新宿区=を売春防止法違反(困惑等による売春の未遂)の疑いで逮捕したと発表した。
「GRAN」は2023年12月、ホストクラブ経営者らと新宿区との連絡会で、「売掛金(ツケ払い)」の廃止を表明したグループの系列店の一つだった。
田中容疑者は店の売掛金ではなく、「女性の支払いを(自分が)立て替えていた」と供述しているというが、警視庁は実質的には「売掛金」による営業だったとみている。女性は店側に数百万円を支払っていたという。
逮捕容疑は今年8~10月ごろ、女性客(24)にホストクラブでの飲食代を支払わせるため、ネット交流サービス(SNS)で「今日は結果残さないとおかしいからね!土曜日だから!」などとメッセージを送り、歌舞伎町の大久保公園周辺で売春させようとしたとしている。「間違いない」と容疑を認めているという。
警視庁によると、女性は4月から店に通い始め、入店時に所持金を確認され、飲食後は所持金の全額に相当する額を支払うよう請求されていた。次第に請求額が増え、田中容疑者に「『立ち』(売春)の方が稼げるよ」と求められるようになったという。
田中容疑者は、女性に客待ちをする様子の画像を送信させたり、「見に行ったら、いないじゃん」とメッセージを送ったりして、行動を監視されていると思い込ませていたとみられる。
女性が10月に売春防止法違反(客待ち)の疑いで警視庁に現行犯逮捕され、田中容疑者の関与が浮上したという。
悪質なホストの被害救済に取り組む「青少年を守る父母の連絡協議会(青母連)」(東京都新宿区)によると、ホストクラブ側が「売掛金」の廃止を表明して以降も、支払い能力を超える請求をされたという客からの相談は後を絶たない。
目立つのは、ホストが個人的に客の支払いを立て替える「立て替え払い」や、事前に料金を用意させる「前入金」と呼ばれるケースだという。
青母連の田中芳秀事務局長は「『売掛金』を求められないので、請求の名目を変えているのだろう。店側もそういった営業を容認している可能性がある」と指摘する。【加藤昌平】
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