沖縄県国頭村比地の比地川が氾濫し被害が広がった問題で、住民らが以前から事前防災の必要性を訴え、県に対して2022年から24年にかけて計3回、河川の土砂などを取り去る浚渫(しゅんせつ)工事を要請していたことが12日、分かった。比地川は県管理河川の一つで、県は24年度、6月に氾濫した安謝川などの浚渫を実施。比地川は順次対応する方針だったが、今回の被害を受け県河川課は「優先的に予算を付け、早めに着手したい」と説明した。

 比地地区が村を通じて県に要請したのは22年12月と今年2月、同10月の計3回。県と北部市町村が集まる行政懇談会でも懸念を伝えていた。

 比地川は周辺に雑草が生い茂り、川底に土砂が堆積。台風や大雨時は氾濫しやすい状況にあり、22年9月には集落の道路や農地で冠水し、床下浸水も発生した。大城健治区長は「要請が県に響いていなかった。人災ではないか」と憤り、知花靖国頭村長は「工事をしていたら、これほどの被害は出なかったのでは」と苦言を呈した。

 県管理河川の工事には、地方債である「緊急浚渫推進事業債」などを充てる。(北部報道部・比嘉海人、政経部・平良孝陽、社会部・吉田光)

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