裁判の傍聴時に、靴下にあった性の多様性を象徴するレインボー柄や衣服の文字を隠すよう裁判所から求められ不当な制限を受けたとして、傍聴人ら3人が13日、国に330万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。裁判長には法廷の秩序を守る目的で「法廷警察権」が与えられているが、運用の妥当性を問いたいとしている。
訴えたのは、2023年6月に福岡地裁で同性婚を巡る訴訟を傍聴した明治大の鈴木賢教授ら3人。
訴状によると、鈴木教授は福岡地裁で開かれた同性婚訴訟の傍聴前に、裁判所職員から靴下のレインボー柄を隠すよう促され、柄部分を内側に折り曲げてようやく入廷が認められたとしている。
袴田さんの名前も
再審無罪が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判を静岡地裁で傍聴した支援者もパーカーに印字された「FREE HAKAMADA」(袴田さんに自由を)の「HAKAMADA」部分を隠すよう命令されたとして原告に加わっている。
法廷警察権は、秩序正しい審理が行われるよう、裁判長は職務執行を妨げたり、不当な行為をしたりする傍聴人らに必要な処置を取ることができると定める。原告側は、いずれの着用も法廷の秩序を乱すものではなかったと主張。裁判所の対応は、法廷警察権の要件を満たさない違法な公権力の行使に当たると訴えている。
鈴木教授は「職員に理由を聞いても『裁判長の指示』としか言わなかった。東京地裁の同性婚訴訟では同じ柄の靴下をはいて傍聴できた。明確な基準を示してほしい」と話した。【菅野蘭】
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