東京地検が入る庁舎=金寿英撮影

 東京地検特捜部の検事から取り調べ中に「なめたらあかんわ」などと侮辱されたとして、特捜部に逮捕、起訴された男性社長が13日、検事を特別公務員暴行陵虐容疑で東京高検に告訴した。社長側は「検事は自白を得るために、重い精神的苦痛を故意に与えた」と主張している。

 告訴したのは、特捜部の捜査によって詐欺罪と会社法違反に問われている太陽光発電関連会社「テクノシステム」(東京都)社長の生田尚之被告(50)。生田被告は検事から受けた取り調べで人格権を侵害されたとして国に損害賠償を求める訴訟も起こしている。

 告訴状によると、検事は2021年5~7月、生田被告に「ここで黙秘をするのはどMや」「11億から12億の詐欺事件や。普通、刑務所行くよ」などと発言したとしている。社長側から苦情を受けても、検事は言動を改めなかったといい、代理人の河津博史弁護士は「深刻な人権侵害が繰り返される恐れがあり(提訴に加え)告訴せざるを得なかった」と語った。

 東京地検の新河隆志次席検事は「告訴状の内容を承知しておらず、コメントは差し控えたい」とした。

 生田被告は金融機関から融資金をだまし取ったり、会社に損害を与えたりしたとされるが、13日に東京地裁で開かれた刑事裁判の初公判で、無罪を主張した。

 特捜部の取り調べを巡っては、不動産会社「プレサンスコーポレーション」を巡る事件で、元社長の元部下を取り調べた当時の大阪地検特捜部の検事が特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられることになっている。【安元久美子】

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