運転開始から50年となった関西電力高浜原発1号機(右)。左は2号機=福井県高浜町で2024年11月14日午前9時50分、本社ヘリから小関勉撮影

 国内で稼働する原発で最も古い関西電力の高浜原発1号機(福井県高浜町、加圧水型)が14日、運転開始から50年を迎えた。長期間放射線を浴び続けた原子炉内の設備は時間の経過に伴ってもろくなるため、事故の危険性の高まりを懸念する声も聞かれる。

 関電は1974年11月14日、1号機の運転を始めた。2011年の東京電力福島第1原発事故後に長期間停止させたが、23年7月に再稼働させた。25年11月14日には、隣接する2号機も運転期間が50年となる。

 放射線を浴び続けたコンクリートなどは、中性子の影響でもろくなることが知られている。原子炉など交換できない設備の耐久性は、運転期間が長くなるほど低くなる。

 現状では、運転期間が30年を超えた後は10年ごとに、管理方針を定めた「保安規定」の認可が必要だ。このため、原子力規制委員会の審査を受け、先月に保安規定が認可された。規制委の山中伸介委員長は今月13日の記者会見で「これまで以上に慎重に審査をしてきたつもり」と述べた。

 一方、原発内のプールに保管されたままとなっている使用済み核燃料の処理は、見通しがついていない。運転するほど保管量が増えるが、関電によると、使用済み核燃料プールは10月末時点で87%が埋まっていて、あと3年余りで満杯になると試算されている。

 高浜町に住む東山幸弘さん(77)は「危険性に不安はつきないが、原発が建設される以前を知る住民が少なくなって、原発の存在が『日常化』している。思っていることが言えないのか、節目を迎えても不安の声すら聞こえてこない」と、町の現状を危惧した。【高橋隆輔】

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