静岡県小山町で2022年に観光バスが横転し乗客1人が死亡、28人が負傷した事故で、事業用自動車事故調査委員会は15日、調査報告書を公表した。男性運転手がフットブレーキを多用する危険な自己流の運転をしたため、制動が困難になる「フェード現象」が起きたと指摘した。
運行会社の美杉観光バス(埼玉県飯能市)の指導不足が背景にあったとし、教育体制づくりなどの再発防止策を提言した。
報告書によると、運転手は大型貸し切りバスの乗務年数が短く、事故現場の長い下り坂は初めてだった。過去にスクールバスなどを運転した経験から、エンジンブレーキの振動を乗客に感じさせずに減速しようとフットブレーキを多用。フェード現象は知っていたが、自身が経験するとは思っていなかった。
事故当日の出庫前に不安を感じた運転手は、運行管理者に指示を求めたが、これまで経験した道路環境との違いや危険性について、的確な指示はなかった。報告書は、運転技術や知識を確認し、向上を図る職場環境づくりに欠けていたことが事故の背景だとしている。
事故は22年10月13日に発生。富士山須走口5合目から「ふじあざみライン」を走行中、カーブを曲がりきれず道路ののり面に乗り上げ横転した。
運転手は自動車運転処罰法違反罪で起訴され、禁錮2年6月の有罪判決が23年10月に確定した。〔共同〕
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