2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)に覚醒剤を摂取させ殺害したとして、殺人罪に問われた元妻、須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が18日、和歌山地裁で開かれ、検察側は無期懲役を求刑した。

検察側は論告で事件当時、被告は野崎さんと自宅で2人きりで「覚醒剤を摂取させる機会が十分にあった」と述べた。

被告が違法薬物の密売人と接触し現金を支払い、受け取ったと指摘。被告は野崎さんが死亡する直前に一緒に食事をしており、飲食物と同時に摂取させることも可能だったとした。防犯カメラの記録から第三者が侵入した形跡はなく、摂取させることができたのは被告以外考えられないと述べた。

また摂取した覚醒剤は多量だった他、死んだ愛犬のお別れ会や通院などを事件後に予定しており、誤飲や自殺の可能性もないとした。

裁判で被告は「殺していないし、覚醒剤を摂取させたこともない」と無罪を主張。被告人質問で、野崎さんから覚醒剤の入手を頼まれたと述べた。弁護側は被告以外が飲ませたり、野崎さんが自分で飲んだりした可能性があると主張している。

起訴状などによると被告は18年5月24日、何らかの方法で野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ殺害したとしている。死因は急性覚醒剤中毒で口から飲んだとみられる。〔共同〕

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