■父親の修被告が出廷…初の検察による反対尋問で明らかにしたこと

 2023年7月、北海道札幌市ススキノのホテルで男性が殺害されたあと首を切断された事件で、田村瑠奈被告(30)が殺人などの罪で、父親の修被告(60)と、母親の浩子被告(61)が殺人や死体遺棄などのほう助の罪で逮捕・起訴されました。

 2024年11月20日午前11時から、浩子被告の6回目の公判が札幌地方裁判所で始まりました。

 裁判では検察が修被告に反対尋問を行いました。検察が修被告に尋問するのは初めてとなります。

 浩子被告は、グレーの上着、青色のゼブラシャツ、茶色のスカート姿、赤色の眼鏡をかけて、最初一礼をして入廷したあと前を見つめていました。

 一方の修被告は、黒色のスーツに、青色のネクタイ姿。医師らしい、やや高圧的な感じを滲ませた受け答えが多く「わからない」「覚えていない」との回答が多い印象でした。


■浩子被告とのLINEのやりとりについて

Q・瑠奈被告が首を自宅に持って帰ったときに(浩子)被告人は寝ていたか?
修被告:そうだと思います

Q・(浩子)被告人を起こして相談しなかったのですか?
修被告:特にしていません

Q・では翌日まで首をおいてクラブに行ったのですか
修被告:そういうことになると思います

Q・瑠奈被告が被害者と会って無事に帰ってきたことを(浩子)被告人に伝えてないのですか
修被告:寝ているのを起こしてまで伝えるものではないと思いました

Q・(浩子)被告人は瑠奈被告の無事を確認せずに寝ていたのですか
修被告:どういう思いで寝ていたのかはわかりません

Q・(浩子)被告人は心配していなかったのですか
修被告:心配はしていましたが帰ったのは明け方3時ぐらいでしたから寝ていたと思います

Q・首を拾ってきた話はありましたか?
修被告:はい

Q・それを(浩子)被告人に伝えなかった
修被告:はい

Q・瑠奈被告を被害者との待ち合わせの場所に送りましたよね
修被告:はい

Q・(浩子)被告人と連絡を取ったのはいつですか?
修被告:家を出てから帰ってくるまで連絡はなかったです。帰ってくるときは(浩子)被告人が寝る時間だったので、特に話はしていません

Q・家に帰ってからLINEなどの連絡はしましたか?
修被告:どのタイミングか記憶にないです

Q・(浩子)被告人はあなたの連絡を待っていたかもしれませんよ
修被告:かもしれません(その後、弁護側が異議申し立て)

Q・質問を変えます。スマホを忘れていた間に(浩子)被告人からLINEはありましたか
修被告:覚えていません

Q・未読のLINEなら気づくのではないですか
修被告:普通は気づくのでしょうけど、わからないです

Q・スマホを忘れてたときにスマホに連絡はなかったのですか
修被告:あったかもしれませんし、記憶にありません

Q・家を出発してから、(浩子)被告人はあなたがスマホ忘れてたことを知っていたのではないですか
修被告:それは私はわかりません


■検察側が提示したスマホ記録とは

Q・瑠奈被告は、被害者とあって(家に)帰ってきましたよね
修被告:はい

Q・帰ってから(浩子)被告人にいつLINEを送りましたか
修被告:いつ送ったか覚えていません

Q・どんな内容ですか
修被告:どんな内容でしたかなぁ

Q・証拠を示します。(浩子)被告人のスマホに残っています。(修被告に紙を見せ)7月2日午前3時33分、あなたが(浩子)被告人に「これから(クラブに)お連れします」と。これはどのタイミングで送りましたか?

修被告:(私は)家にいるというか、かなり長い時間車にいるので出発してからか、出発する前かはわからないですね

Q・7月2日午前3時34分、被告人から「了解です」とやりとりしています。覚えていますか?
修被告:したんでしょうね

Q・3時9分に浩子被告人にLINEを送って、3時10分に浩子被告人があなたにLINEを返しているが、消されてしまって中身が分からない
修被告:その時間であれば「帰ってきました」という内容では

Q・浩子被告人はしっかり起きていたのでは
修被告:枕元に(スマホが)あって、メッセージが来たという感じだったのではないでしょうか

Q・浩子被告人に送ったんじゃないですか
修被告:相手が寝ていたらすぐ返信来るかは相手次第ですから、連絡として入れたのではないか。その返信をすぐ確認したかも分からない。一般的にはそうかもしれないけど、スマホを置いてますのでしっかり起きてるか寝てるかそんなに意識してないと思う

Q・「瑠奈が首を拾ってきた、殺したかもしれないけど」とLINEで伝えてないんですね
修被告:伝えてないです

Q・瑠奈が被害者を殺したと被告に伝えたのはいつになるんですか (※弁護人から聞き方について異議)
修被告:そういう話題が出たとすればクラブから帰って娘は休んで、浩子はだいたい起きてますので、NPO法人の総会に出る準備ありますので、その日のうちのどこかでかなという感じ

Q・年次総会は何時から?
修被告:2時からです

Q・浩子被告と連絡を取るのは可能でしたね
修被告:可能かと言われれば一般論としては可能ですね。そういう証拠があればしたんだと思います。

Q・仮眠を取ろうとしたけど神経がたかぶって眠れなかった?
修被告:どうだったんでしょうね。寝ていない状態で何が原因でたかぶっているのか、今思うとはっきりとは分からないですよ

Q・瑠奈被告が首を持ってきたからではないか
修被告:そのことも影響しているかもしれない。その時にLINEしたか私の中では覚えていない

Q・瑠奈被告が首を拾ってきた、瑠奈被告が犯人だと疑われるとは思わなかったか
修被告:そう思ってましたので、すぐにでも逮捕されると思ってた

Q・すぐ警察が自宅に来るとは思わなかったか
修被告:そのときはすぐには思ってなかった。事件がはっきりしたあとっていうことですから

Q・自宅に帰りつくまで瑠奈被告が首持って帰ったのは知らなかったですよね
修被告:普通に自家用車で送って自家用車で連れて帰った

Q・警察が自宅に来るとは思わなかったか
修被告:いきなりすぐに来るとは、その時犯罪が起きたと思ってないですから

Q・頭が回らなかったということか
修被告:すぐに捕まるとは思い至らなかった

Q・浩子被告人が驚くんじゃないですか(※弁護人からの異議「被告人の心情を聞くのはおかしい」)
(質問を変えて)あなたは被告人に何も言わずに出ていったときに警察が来たら被告が驚くと思わなかったか
修被告:その時点では思っていない。昼間の時間にかくかくしかじかと伝えたとは思います。


■「ハイター」「指紋」検索の経緯

Q・あなたと瑠奈被告が留守にしていて、警察が来て首を見つけたら浩子被告が捕まるとは思わなかったか
修被告:いきなりのことでびっくりするとは思うが、捕まるとは思ってない。その段階で犯罪が成立していない。NPO終わってかくかくしかじかと話そうと思ってた。

Q・被害者と瑠奈被告が殺害したり死体を持ってきたり周到に計画したの知ってるのでは
修被告:知りません

Q・瑠奈被告がホテルでの殺害をビデオで見ましたか
修被告:後ほど、ちらっと見ました

Q・ワイドハイター、塩素系、浴室 6月20日夕方に検索しましたね
修被告:多分したと思う

Q・ハイターで指紋を消せると検索は
修被告:したんだと思う

Q・指紋を消すのにハイター使えるのか、あなたも調べた
修被告:しました。どのようなダメージがあるか調べておきたい

Q・ハイターの成分調べたか
修被告:どの程度まで調べたか覚えていない

Q・”ドール”を傷めてしまうのか心配なら、正確な成分を検索するのでは
修被告:どういう作用があるのか気になっていたかも

Q・”ドール”を検索ワードに入れて検索してませんね
修被告:はい。浴室用と出たのでクリックしました

Q・瑠奈被告が首を持って帰ってきたあと、クラブに連れて行っても、警察の捜査が進んでるかもと気になったことはないか
修被告:日中、何か事件が起きていないかその日のどこかで検索はしたと思う

Q・7月2日、「ススキノ、殺人事件」で検索してますね
修被告:そうなんですか。気になってたかもしれないですけど、娘を送っていってそのタイミングで検索したとしか言いようがない

Q・検索しているが浩子被告に何も伝えていない
修被告:伝えていない。まだ事件としてなっていない。6時の段階で伝えないといけないとは思ってなかった。まず何か起きてないかというのを調べた。

Q・瑠奈被告とあなたが帰ってきて「首を拾ってきた」と言ったときに浩子被告は起きてたのでは
修被告:直接確認してないので分かりません

Q・氷を買って帰ってきたのは午前3時前後ですよね。黒いビニール袋に球状のものが入ってるのは被害者の頭だと思ってるか
修被告:全く思ってないわけでない

■「時間が経つにつれてこれは大変なことだと」

Q・首に関して浩子被告から何か聞かれたことは
修被告:何を聞かれたか何を話したかなどの細かいやりとりは覚えていない

Q・一大事ではないのですか
修被告:結果的に一大事でしたね

Q・LINEのやりとりで首の相談がありませんが、消したのですか
修被告:消したかどうか覚えていません

Q・首を拾って戻ってきたとき、3人で話し合おうとはしなかったのですか
修被告:はい

Q・半信半疑だったのに?
修被告:はい

Q・浩子被告とはこれまでちょっとしたことでもやりとりしていたのではないですか
修被告:全てのことでやりとりしていたわけではない

Q・これまでも困難なことは(浩子被告と)2人で乗り越えたんじゃないですか
修被告:はい

Q・瑠奈被告が首拾ってきて、親として絶望感や緊張感を感じられないのですが
(※弁護側から侮辱的な発言との異議も裁判長が棄却)

Q・瑠奈被告が「首を拾った」と言ったころ、緊張感や絶望感を感じなかったのですか?
修被告:そのときは半信半疑でしたが、それから時間が経つにつれてこれは大変なことだと思いました。絶望感も緊張感もないと言われるのは大変心外です

Q・あなたは7月2日の朝、浩子被告に「色々ご迷惑をおかけします」と送っているが、その時間ぐらいで大変なことが起きているという認識になったのか
修被告:かもしれません

Q・あなたと瑠奈被告が自宅に戻ってきたとき、浩子被告にLINE送るまで未読を見ていないのですか
修被告:戻ってきたときですね?してると思います

Q・浩子被告とLINEでやりとりしましたよね
修被告:多分したかもしれません


■「殺人事件 時効」と検索

Q・浩子被告はあなたの車のGPS情報を気にしているようだけど、何か心当たりありますか
修被告:特にありません

Q・スマホ忘れたのではなく位置情報が残らないようにあえて置いてったのではありませんか
修被告:そういう覚えはありません

Q・ゲームセンターに行きたいと言ったのは
修被告:私が言うことはないので、娘だと思います

Q・瑠奈被告にゲームセンターでスマホを貸したのですか
修被告:しょっちゅう貸すので、どこで貸したかはわからないです

Q・「殺人事件 時効」と検索したことはありますか
修被告:おそらくあったと思います

Q・8月27日の警察官からの聴取で聞かれましたか
修被告:「時期を問わず」と聞かれたので、時効の経過について一度調べたことがある記憶があります「思いついたことあったら話して」とのことだったので


■瑠奈被告は被害者の胴体をキャリーケースに入れようとしていた

Q・瑠奈被告の実際の行動としても被害者の頭部をあなたの家に持ち帰ってますね
修被告:はい

Q・首を家に持ってきたことをあなたや浩子被告に隠そうとしていない
修被告:はい

Q・キャリーケースというのは「耐荷重100kg」とかあなたが調べながら買ったものですよね
修被告:はい。本人からSMに使う道具が入っていると聞きました

Q・瑠奈被告は残りの胴体をキャリーケースに入れようとしてますね。撮影されているのは聞いているか?
修被告:詳しくは聞いていません

Q・被害者の死体を入れて持って帰るためでないか
修被告:知りません

Q・完全犯罪狙ってるんじゃないか
修被告:それは違うと思います

Q・成人男性の死体を入れる犯行計画にあなたの手伝いが前提になっているのでは
修被告:指示されたのはありません

Q・死体を家に持って帰ってきても殺人の時効を調べても意味ないと思うがどうですか
修被告:分かりません

Q・警察に届け出ないこと前提ではないか
修被告:分かりません

Q・瑠奈被告はあなたや浩子被告がいいなりと分かっているから犯行計画を隠す必要はない、どうですか?
(※弁護側が異議申し立て裁判長が認める)

Q・みんなで計画した方がうまくいきますよね。計画を一緒に練ろうとは言われなかったか
修被告:どこに行くとはあるが、犯罪とかはないです。


■首を持っていては駄目だという発想はなかった。奇異に思われるかもしれないが、すぐに逮捕されると思ってた

Q・どうして拾ってきたのと聞かなかったんですか
修被告:はい

Q・どうして拾ってきたとは思わなかった?首の主を殺した犯人と疑われてしまいますよね。遺族も困りますよね?
修被告:それはそうですね。一般的にありえないけど、突拍子もないこと言い出すので、何か言ってるなと

Q・瑠奈は家に置きたい理由があったか
修被告:分かりません

Q・持っていては駄目だと言えなかったのか
修被告:そのような発想はありませんでした。すぐにでも捕まるだろうから普通の日常を過ごさせてあげたいと思っていた。奇異に思われるかもしれませんが。すぐ逮捕されると思ってた。

Q・持っていたらすぐに捕まるものですよね
修被告:殺したのであれば捕まるのは普通ですね

Q・浩子被告と話し合ったか
修被告:お互い(瑠奈被告が)すぐに捕まるだろうと、普通に暮らさせてあげたい。我々が突き出すことで身内に裏切られることだけはさせたくないという思いがあって、捕まるまでは日々を過ごそうとなんとなく思ってました。普通に過ごそうね、なんとなくそういう話か。お互い話ながら空気の中で、車の中で本人と話した記憶あります。

Q・瑠奈に裏切られることしたくないと
修被告:はい

Q・あなたの話だと、瑠奈はあなた方に隠して犯行を計画した?
修被告:そのような見方はできますけど親として子を突き出すことできません。瑠奈は親と認識してないですけど。身近な人に自分がとがめられてつきだされた。瑠奈をかかえてきた親としてはそれだけはできないという気持ちです。瑠奈の窓口だとは考えています(感極まる声で)

Q・精神状態が悪化するの避けたかった?
修被告:悪化してました。1日も早く逮捕に来てくれるのを望んでました。捕まえに来てくれるまでは瑠奈がこれ以上壊れないようにと思ってました

Q・瑠奈が死体損壊し、浩子被告はとがめたりしたか
修被告:その場に近づくことも考えることも嫌いな人ですから、でもよく分かりません

Q・ビンに入った(遺体の一部)を見せられた。損壊を知ってましたよね
修被告:はい。こういうの見せられたという確認はしました。早く捕まえに来てほしいなという感じはどこかにありました。もちろん考えていましたけれども、皆さんにはおかしいかもしれないけど親としての支援をして、被害者と向き合っていかなきゃと思ってた

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