JR九州の子会社が日韓で運航する高速船「クイーンビートル」の浸水隠ぺい問題をめぐりJR九州は21日、調査を進めていた第三者委員会から報告書を受け取り、その内容を明らかにしました。
クイーンビートルをめぐっては、運航会社のJR九州高速船が、船体の船首部分への浸水を把握しながら3カ月以上も国に必要な報告を行わず、センサーが作動しないように位置をずらしたり、航海日誌に「問題なし」などと記載してデータを改ざんしたりして運航を続けていたことが8月に発覚しました。
これを受けJR九州は9月に弁護士など3人で構成する第三者委員会を設置し、事実関係などの調査を進めていました。
調査報告書によりますと第三者委員会はJR九州高速船やJR九州の役員など23人に対してのべ32回のヒアリングしたほか、関係者のメールやチャットのデータを調査しました。
その結果、調査委は「このような事態を引き起こした責任はJR九州高速船の幹部及び船長にあると考える」とした上で、原因については「航行の安全最優先及び法令・社内規定遵守に対する真の意識改革が成し遂げられていなかった」「安全な運航業務の遂行に対して正しい判断を下すための体制・仕組み作りが不十分だった」と指摘したほか、幹部や船長と船員らとの間で円滑なコミュニケーションを図るための環境が不十分だったなどとしています。
この上で、再発防止のために安全意識の醸成と法令順守の意識を浸透させることや、安全管理体制の機能強化、親会社のJR九州によるガバナンス強化などに向けた具体的な施策を提言しています。
JR九州は「調査報告書の内容を真摯に受け止め、内容を十分に検討の上、可能な限り速やかに再発防止策等の必要な対応を進める」とコメントしています。
この問題をめぐっては、福岡海上保安部が10月、船舶安全法違反と海上運送法違反の疑いでJR九州高速船などを家宅捜索し、浸水隠ぺいに至った経緯などについて捜査を続けています。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。