丸山大輔元長野県議が妻を殺害した罪に問われている裁判です。検察側は、「身勝手な動機で、計画的な犯行」として「懲役20年」を求刑し、弁護側は「直接的な証拠がない」として無罪を主張しました。最後に丸山被告は「私が妻を殺すわけがない」と話し、裁判は結審しました。
元長野県議会議員の丸山大輔被告(50)。2021年9月に、塩尻市の自宅兼酒蔵で妻・希美さん(当時47)の首を何らかの方法で圧迫し殺害した罪に問われています。
これまでの裁判で検察側は、不倫相手の存在や妻の実家からの借金などを理由に「妻を殺害するしかない状況で犯行動機があった」と主張。
一方、弁護側は、「事件当時は夫婦間にトラブルはなく、殺害する動機はない」と主張しています。
丸山被告は、初公判で「妻を殺害したのは私ではありません」と起訴内容を否認し、被告人質問でも、事件前後の議員会館と自宅の往復を否定していました。
18回目の審理となった26日の裁判。まず、希美さんの姉が証言台に立ち意見を述べました。
希美さんの姉:
「事件から3年たちましたが心にもやがかかり、心から笑えなくなりました」「犯人の一方的で身勝手な行動で人生を変えられた。どんな処罰を受けても犯人を許すことができません」
続いて、検察側が論告で、現場の状況から「被告が犯人でないと合理的説明がつかず、被告人が犯人でないことはありえない」などと主張。その上で、「身勝手な動機で、計画的な犯行。反省の気持ちはみじんもない」などとして、懲役20年を求刑しました。
一方、弁護側は、「被告は事件前日夜から当日朝は議員会館にいた」と改めて主張。
その上で「直接的な証拠は全くなく、間接的な証拠も、合理的な疑いが残らない程度に証明できていない」として無罪を主張しました。
双方の主張の後、丸山被告が証言台に立ちました。
裁判長:
「最後に何か述べたいことはありますか?」
丸山被告:
「逮捕されて私は怒りと混乱とそんな気持ちの中にいました。私が希美を殺すわけがない」
そのまま、逮捕後に黙秘していた理由などについて10分ほど話した丸山被告。裁判長から「そろそろまとめてください」と言われると、「あと20分ほど話したい」と返し、休廷を挟んで、再び話し始めました。
丸山被告:
「私は仕事を失い、ひどい恥をかきました。母を失った子を見守ることがこれからやらなければいけないこと。希美もそれを望んでいると思い、長々と話しました」
25分ほどに及ぶ丸山被告の意見陳述を終え、裁判は結審しました。
裁判の争点は被告の犯人性、つまり「被告が犯人であるかどうか」。
犯行を裏付ける直接的な証拠がなく、被告自身も全面否認する中、裁判で出た状況証拠や、証人・被告人の発言などから判断しなければならず、裁判員は難しい判断を迫られそうです。
刑事訴訟法に詳しい信州大学経法学部の丸橋昌太郎教授は、「現場の状況」についての判断が判決のポイントになるとみています。
信州大学経法学部・丸橋昌太郎教授:
「犯行現場に行ったかどうかとか、動機というのはあくまで可能性を裏付ける証拠にすぎない。そのこと自体で犯人性を認定できるわけではないので、極めて重要になってくるのは、犯人が被告人である場合でしか説明できないこと。顔見知りの犯行じゃなきゃできなかった点とか、あるいは金庫の位置が分かっていた点だとか、そういったところをどう評価されるのか、これがポイントになるのは間違いありません。この点を裁判員がどう判断されるか、それに尽きると思います」
今後、裁判官と裁判員は非公開の評議で、判決の内容を検討します。判決の言い渡しは、12月23日の予定です。
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