袴田巌さん=代表撮影

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件を巡り、死刑が確定していた袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)で無罪が確定したことを受け、静岡地検の山田英夫検事正が27日、浜松市の袴田さんの自宅を訪れ、直接謝罪した。

 関係者によると、山田検事正は裁判が長期化したことを謝罪したうえで、静岡地裁の再審無罪判決に対する検事総長談話(10月8日付)について説明したとみられる。

 再審無罪判決は、捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)を認定。これに対し、畝本直美検事総長は「多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である」とする談話を発表していた。一方で控訴はせず、「刑事司法の一翼を担う検察として申し訳なく思う」とした。

 袴田さんは80年に死刑が確定し、死刑囚として34年間、拘置所に収容された。第2次再審請求で再審開始が認められた。静岡地検は再審公判でも死刑を求刑したが、今年9月26日、静岡地裁で無罪判決を受け、確定した。10月21日には静岡県警の津田隆好本部長が袴田さんと姉の秀子さん(91)に謝罪をしている。【丘絢太、山田英之】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。