北海道江別市で男子大学生が集団で暴行を受けて死亡した事件で、札幌地検は逮捕されていた交際相手の女ら2人を強盗致死などの罪で起訴した。傷害致死からより重い罪に問うたのはなぜか。専門家は残されたスマートフォンの動画がカギを握ると指摘する。
強盗致死や詐欺などの罪で起訴
強盗致死や詐欺などの罪で起訴されたのは江別市の大学生・八木原亜麻被告(20)とその友人の川村葉音被告(20)。
起訴状などによると2人は10月、江別市の公園で八木原被告の交際相手の大学生長谷知哉さん(20)に暴行を加えて死亡させ、クレジットカードを奪ったなどの罪に問われている。
“キャッシュカード”奪い「暗証番号」も聞き出す
この事件では八木原被告・川村被告のほか逮捕された男ら4人の計6人が共謀し、長谷さんへ集団暴行。
「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」「銀行カードあんのか」(いずれも八木原被告らが長谷さんに発した内容)
2人は奪い取ったクレジットカードでたばこ25箱などを購入した。
さらに暴行を繰り返す中で、奪い取ったキャッシュカードの暗証番号も聞き出し、その後口座からは現金12万円以上が引き出されていた。
暴行の様子をスマホで撮影 謝罪させる様子も
6人のうち一部が長谷さんを暴行する様子をスマートフォンで撮影していた。
捜査関係者によると、動画には八木原被告との交際をめぐるトラブルについて因縁をつけ、長谷さんに謝罪させている様子が映っていたという。
恋人の八木原被告「暴行を笑いあおった」
札幌地検は2人の認否を明らかにしていないが、これまでの警察の調べに八木原被告は「直接手を出さなかったが、他の容疑者の暴行の様子を笑ったりあおったりした」と供述している。川村被告は「自分も暴行した」などと話していた。
法定刑が死刑または無期懲役に限られる強盗致死罪の適用に踏み切った札幌地検。残る男ら4人についても近く判断が下される見通しだ。
専門家が分析 「動画で客観的に分かる」
八木原被告と川村被告は送検時、傷害致死の容疑だった。検察側にどのような判断があったのか。アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士の分析は。
「強盗の場合、暴力の程度が被害者の反抗を抑圧する程度に強くならなくてはならない。暴行の途中で金品を盗むという意図が発生した場合、その後に新たな暴行を加えなくてはならないという判例上の要件がある。スマートフォンの『動画』で、暴行の程度やどの時点で財物をとる意思が生まれたのか客観的に分かるので、今回、強盗に切り替えたのだろう」
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