SNS(ネット交流サービス)や求人サイトなどを利用して犯罪実行犯を募り、緩やかに結びついたメンバーが犯罪を起こす「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による犯罪を防ぐため、県と県警は緊急対策プランを策定した。県と県警の合同は全国初。【菊池真由】
SNS警戒 危険察知→4コマ漫画で警告
県内でも詐欺や強盗の脅威が増す中、三日月大造知事から「県と県警で一緒になり緊急かつ強力に対策を打ち出したい」との提案が県警の池内久晃本部長にあり、合同で対策する方針が決定した。
県警によると、トクリュウが関わっているとみられる特殊詐欺、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺事件の今年1~10月の合計被害額は約24億円にのぼり、昨年同時期の同様事件による合計被害額約11億円の2倍以上となっている。
緊急対策プランでは、市町や関係機関などが連携し犯罪発生状況の分析結果に基づいた情報を県民に発信する。また、池内本部長や県にゆかりのある著名人が県民がトクリュウ犯罪に遭わないように行動してもらえるメッセージを作ることなどを行う。
さらに、県警は「滋賀県民 オール・トレイル作戦」と題して、落とし物の受け渡しなど警察職員が県民と接するあらゆる業務を通じて、「SNS上での投資は注意」など被害に遭わないためのポイントを伝える活動に力を注ぐ。
トクリュウはメンバーや犯罪の実行役を「闇バイト」で集めているとされる。県警は、闇バイトに対する注意喚起について、多くの犯罪で実行役となっている若者に焦点を当てている。
県警は、若者の重要なコミュニケーションツールであるSNSを最大限に警戒。7月からX(ツイッター)を県内で使用した人が「高額報酬」や「リスクなし」など闇バイトに関わる言葉を検索すると、4コマ漫画の画面となり「闇バイトは犯罪です!」と県警からの警告メッセージが表示されるようにした。教育現場も重視し、県警が作成した闇バイトに関する動画を学校で防犯学習の教材として活用してもらうため、県を通じて小・中・高校に提供している。
県警は11月26日、刑事部長など各部の部長や参事官、捜査一課長などトクリュウ対策に当たる主幹の所属長など計21人で構成される「県警察犯罪抑止戦略推進本部」を設置し、第1回会議を開催した。池内本部長は「県と県警察で緊密に連携・協力し、情勢を的確に分析し、トクリュウの本丸に迫る捜査に力をいれる」と訓示。また、三日月知事がオンライン記者会見で、「強い危機感を持っている。連携し情報共有しながら注意喚起していく」と訴えた。
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