日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式が10日、ノルウェー・オスロで開催される。授賞式には、核兵器廃絶を訴える「高校生平和大使」の広島市立基町高校2年、甲斐なつきさん(17)も参加。授賞式を前に、甲斐さんを含む第27代平和大使らが11月、高松市で講演し、核兵器廃絶の署名を集める「高校生1万人署名活動」を行った。【川原聖史】
高松市を訪れたのは、広島で活動する高校生平和大使5人と元大使の大学生の計6人。11月30日に開かれた2024高松市男女共同参画市民フェスティバル実行委主催の講演会で、これまでの活動を報告した。
甲斐さんら平和大使は2024年8月、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)などを訪問し、核廃絶を求める約9万6000筆の署名を軍縮部に提出した。福山暁の星女子高2年の佃和佳奈さん(17)は、軍縮会議日本政府代表部の市川とみ子大使らと面談した時のことを振り返った。
市川大使らに九つの質問をしたが、いずれも「日本政府は核兵器廃絶のゴールは持っているが、現実的、実践的に核保有国を巻き込みながらでないと意味がない」という回答にとどまった。核抑止論に頼り、核兵器禁止条約に否定的な立場をとる政府の姿勢に悔しい思いをしたという。
「被爆地で被爆者の生の声を直接聞いている私たちだからこそ、できることがあるんじゃないか」。面談を終えてホテルに戻り、皆で「メッセンジャーとして被爆の実相を伝える」といった平和大使の役割を再認識したと語った。
10月11日にノーベル平和賞受賞が発表された時、佃さんと甲斐さんは広島県被団協の箕牧智之(みまきとしゆき)理事長と一緒に広島市役所で待機していた。講演会後、甲斐さんは毎日新聞の取材に「発表の瞬間、箕牧理事長と喜びを分かち合うことができてうれしく思う」と語り、「戦争を経験していない世代も含めて誰もが核廃絶や平和について考え、自由に発言できる場を作らないといけない」と今後を見据えた。
講演会を終えると、平和大使らは商店街に移動し、今年で25年目を迎えた「高校生1万人署名活動」を実施。道行く人に平和の尊さを訴えた。
高校生平和大使は1998年のインド・パキスタンの核実験を機に長崎市で誕生。現在17都道府県で23人が任命されているが、四国にはいない。高校生1万人署名活動実行委員会・高校生平和大使派遣委員会の平野伸人共同代表(77)は「これからも、平和大使の活動を全国に広げたい。継続させるために大人の力も必要だ」と訴える。
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