癒やしの効果があるという「モノリナ」を演奏する伸子さん=大阪市で2024年12月8日午後1時1分、林みづき撮影

 2021年12月にあった大阪・北新地のクリニック放火事件から3年となるのを前に8日、大阪市内で追悼コンサートがあった。遺族やクリニック関係者57人が鎮魂の音色に耳を傾け、犠牲者をしのんだ。

 コンサートは昨年に続き2回目。事件で亡くなった院長・西沢弘太郎さん(当時49歳)の妹伸子さん(47)らが、「遺族や患者が集う癒やしの場となるように」と企画した。

 会場では合唱やピアノ演奏も披露された。伸子さんはバイオリンに合わせ、音響療法で使われる「モノリナ」という弦楽器を奏でた。

 ピアニストの小池美貴子さん(49)はクリニックの元患者。西沢院長が発達障害の診断書を出してくれ、やっと理解者に出会えたと思い、前向きに生活できるようになったと振り返った。参加者らの演奏に涙を流し、「音楽には心の深いところを癒やす力がある。こういう機会を通していろんな人がいることを知ってもらえるとよいと思う」と話した。

 伸子さんは「歌声や音が空に伝わり、亡くなった人たちに届いたと思う。いろんなことを思いだし急に泣いてしまうこともあるが、前に進んでいきたい」と語った。コンサートは来年12月も開催される予定。【林みづき】

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