道路の中央分離帯などに生える雑草対策として、北九州市は、製鉄の過程で生じる地元産の「鉄鋼スラグ」を再利用した舗装剤を使い、雑草が生えるのを防ぐ実証実験に取り組んでいる。従来の「除草」から「防草」にシフトし、人件費などのコスト削減を目指す。効果を確認しながら、2025年度から本格導入する予定。【山下智恵】
市道路計画課によると、道路の除草費は年間約7億円に上る。近年は人件費の高騰に加え、地球温暖化で雑草が生育しやすい環境になっており、今後経費がかさむ恐れがあるという。「伸びたら刈る」という従来型の除草対策では適切な維持管理が難しくなってくるため、「防草」への転換を目指すことにした。
実証実験では、日本製鉄(東京)が製造する舗装剤を使用。土より強度や耐久性が高く、費用はコンクリートを使用した場合に比べて3分の1程度に抑えることができるという。北九州市内の日本製鉄の工場で発生した鉄鋼スラグを再利用しており、市は「地産地消の防草対策」としている。
市は24年度中に、雑草が生えやすい市内7区の計約2000平方メートルの区域に舗装材を敷き詰め、来夏にかけて雑草の抑制効果などを確認する。同年度中には防草に関する基本戦略の素案を策定し、実証実験の結果を踏まえ改定していくという。
武内和久市長は「コストを抑制できる工法を導入すれば、同じ予算でもより多くの防草対策が実施できる。試行錯誤しながら除草から防草へのシフトを進めていきたい」と述べた。
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