沖縄本島の北部地域を襲った記録的大雨から1か月、これまでに農林水産業の被害額は17億円あまりに上っています。国頭村で親子三代で観葉植物を育てる農家はかつてない被害にこの先も仕事を続けられるのか不安を抱えながら復旧作業を続けています。

県が9日までにまとめた記録的な大雨による農林水産業の被害総額はおよそ17億7000万円に上っています。このうち農地への土砂の流れ込みなどがおよそ10億円と最も大きな被害となっています。

「現状では全滅です。出荷できるものがないから片づけをしてそこからの目途なので…。」

国頭村比地地区で祖父と父と親子三代で観葉植物を育てる大城政志さんです。50年以上にわたって主に「ドラセナ」を栽培してきましたが、このような被害は初めてだったといいます。

「全部土砂で埋もれて歩き道もなくなってウネも全部同じ高さになってという感じです。(水は)150cm以上くらいですかね全部海になりました。」

観葉植物を育てるハウスは6棟ありますが、このうち2棟が土砂に巻き込まれ骨組みが曲がったり完全に倒壊したりするなどしています。ドラセナの出荷はクリスマスや年末年始に向けてこれからピークを迎えるはずでした。

「こうやって根っことかがやられ始めて黄色くなってくるので、これも全部土の中の病気だから見えないんですよ。上が大丈夫でも今度は土の中。こうなっている状態から次の出荷はいつになるか、いつできるかわからないですね。」

大雨から1カ月がたっても泥をかきだせてないハウスもあり、このままでは病気が広がってしまうことから大城さんは焦りと不安を募らせています。

「これから病気も増えていくのでそういうのが出たらもう出荷もできなくなってもう本当に(先が)分からないです。正月休みも関係なくずっと片付けですね。片付けが終わらない限り次の段階、畑の復興にはいけないので。その間もずっと収入もないし。」

被害額はハウスの解体などを考えると少なくとも3000万円以上に上るといいます。ドラセナを苗から育て出荷できる株になるまでに1年以上かかるため、大城さんはいまなんとかして立て直さなければならないと考えていますが、公的な支援はほとんど受けられていない状況です。

「野菜や果樹、漁業そういうのは(補償が)あるんですが、観葉植物に対しての補償とかそういうのが見当たらなかった。(行政は)そういうのもちゃんとしてほしいなというのがあります。」

県によりますと、農家に対するサポートは農薬の無料配布などに留まっていて被害が甚大な地域で今後どのような形で支援できるか関係部局と調整を行っているということです。記録的な大雨から1か月が経過していますが大城政志さんはこの先も観葉植物を育てていけるのか、不安を抱えたまま、畑の復旧作業を続けています。

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