写真はイメージ=ゲッティ

 会社の同僚と親睦を深め、社としての一体感を醸成する場として「宴会」は時代遅れになりつつあるのか――。

 2024年シーズンの年末年始に忘年会や新年会をする企業は6割にとどまり、新型コロナウイルス流行前の水準に戻っていないことが、東京商工リサーチのアンケート調査で明らかになった。

 実施しない企業は4割で、19年シーズンの2割に比べると倍増している。

 開かなくなった理由の上位は「開催ニーズが高くない」「参加に抵抗感を示す従業員が増えた」などで、コロナ禍をきっかけに“消極派”が定着しつつある現状が浮かんだ。

「仕事の上下関係引きずりたくない」

 調査は12月上旬にインターネット上で実施し、6529社から回答を得た。

忘・新年会の実施率の推移

 その結果、忘・新年会を実施する企業は3891社で全体の59・6%。前年(55・9%)を3・7ポイント上回ったものの、コロナ禍前の19年シーズン(78・4%)と比べると2割ほど低い水準にとどまっている。

 実施する理由としては「従業員の親睦を図るため」が87・1%で最も多く、「従業員の士気向上のため」が51・1%と続いた。

 一方、コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない企業は18・2%。このうち、理由で最も多かったのは「開催ニーズが高くないため」(65・1%)。次いで「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」(36・6%)だった。

 開催ニーズの低さや抵抗感は大企業(資本金1億円以上)の方が中小企業より高かった。

 調査担当者は「飲み会まで仕事の上下関係を引きずりたくない人は増えている。コロナ禍を経て、忘年会や新年会をやらない状況が一定程度、定着している」と分析している。

 また、忘・新年会が「労働時間になる」と回答した企業は9・7%。残りの9割は「労働時間でない」としており、担当者は「仕事に関係することを飲み会に持ち込みたくない人たちと会社側との間に認識のギャップがある」と指摘している。【岡田英】

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