2025年5月にスタートする戸籍の氏名に読み仮名を記す新制度を巡り、どういう読み方であれば認められるかについて、法務省が全国の自治体に示した審査基準案が関係者への取材で判明した。「社会を混乱させる」「社会通念上相当でない」という読み方でない限りは届け出を受理してよいとしている。漢字本来の読み方とは異なっていても、一定の関連性を説明できれば受理されるとみられ、いわゆる「キラキラネーム」も広く許容されそうだ。
現行の戸籍には氏名の読み仮名が記載されていない。政府は行政手続きのデジタル化のため、2023年に戸籍法を改正し、読み仮名について、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」を戸籍に記載するとの規定を設けた。カタカナで表記される。
新制度は25年5月26日から始まり、新生児や日本国籍の取得者が、各地の市区町村による審査の対象となる。
ただ、市区町村側からは一般に認められる読み方について「早く基準を示してほしい」とする要望があり、法務省は16日に全国の市区町村向けに説明会を開き、審査基準案を示した。
審査基準案によると、一般の読み方として認められないケースは、「社会を混乱させる」「社会通念上相当とはいえない」読み方だとし、具体的には、漢字と反対の意味になる▽漢字の意味や読み方との関連性をおよそ認めることができない▽子の利益に反する――場合が該当するとした。
これらに当たらない読み仮名であれば、市区町村は届け出を受理してよいとしている。判断に迷った場合は、各地の法務局が市区町村の相談に乗るという。
一方、審査基準案は、一般の読み方として認められるケースにも言及しており、音読み、訓読みの一部を当てている=「心愛(ココア)」「桜良(サラ)」▽2字以上の漢字に訓読みを当てている=「飛鳥(アスカ)」「乙女(オトメ)」▽直接読まない「置き字」を含んでいる=「蒼空(ソラ)」「結夢(ユメ)」――の3項目を例示した。
奇抜な読み仮名については、届け出人に読み方の理由や、漢字との関連性の説明を求めることも想定している。
新制度が始まると、全国の市区町村は住民票に基づき、読み仮名を郵送で通知する。間違いがあっても届け出れば変更できる。既に戸籍がある人は、これまでその読み仮名を使ってきたことが分かる身分証を示せば原則認められる。
通知の読み仮名で合っていれば、届け出をしなくても1年が過ぎると、そのまま戸籍に記載される。
鈴木馨祐法相は13日の閣議後記者会見で「市区町村に情報共有をしっかり行って不安の解消に取り組み、新制度の円滑な実施に万全を尽くす」と述べた。【三上健太郎】
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