以前は「歯槽膿漏(のうろう)」と呼ばれていた歯茎の病気が、最近では「歯周病」と呼ばれるようになりました。歯磨き粉やうがい薬などのコマーシャルで「歯周病」と耳にすることが増えてきました。

 歯槽膿漏とは歯茎からうみが出てくる症状を言ったものです。歯周病とは歯の周りの病気の総称で、歯肉炎と歯周炎に分けられます。

 健康な歯茎は適度な硬さと弾性があり、歯茎の表面にはスティプリングと呼ばれるミカンの皮の表面にある小さなくぼみのようなものが見られます。歯は歯槽骨と呼ばれる骨で支えられ、歯の見えている歯冠部と歯槽骨の中に埋まっている歯根部に分けられます。歯根部は歯冠部の1・2~2倍の長さがあります。

 歯茎の周りの磨き残しがあると、磨き残しの中のばい菌や、唾液の石灰化成分で固くなったものが歯石となります。そこからの毒素で歯茎は暗赤色になり、歯茎が腫れ、歯ブラシのときやリンゴのような固いものをかんだときに出血するようになります。

 歯肉炎では歯槽骨の吸収はないのですが、歯肉炎が進行すると歯周炎になり、歯槽骨の吸収が見られるようになります。歯槽骨に埋まっていた歯根部の骨の約2分の1がなくなると、歯のぐらつきが出てくるようになります。3分の2程度がなくなると、「かむと痛い」「ぐらついてしっかりかめない」という症状になってきます。

 歯周病が怖いのは、一度消失した歯槽骨が回復しないという点です。歯科医院に行って、歯石除去や歯ブラシ指導を受けて元のきれいな歯根部になっても、歯槽骨は回復しないのです。

 まず歯肉炎にならないようにし、歯周病は早めに進行を止めて、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けること、毎日の正しい歯磨きが重要になります。歯ブラシは磨けていない位置が分かりづらいので、歯科医院で指摘してもらうのがよいでしょう。

=第3水曜日掲載

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