上皇さまは23日、91歳の誕生日を迎えられた。新聞やテレビが伝えるニュース、側近らとの会話を通して国内外の動きに関心を向ける日々の中、戦時下の記憶や平和への思いも日常的に話題になる。右大腿(だいたい)骨上部を骨折した上皇后美智子さま(90)のリハビリを見守り、ともに散策するなど、お二人で体調を気遣い合いながら過ごしている。
外出の機会は少ないものの5月、栃木県日光市を訪ねた。終戦前の約1年、疎開生活を送った旧日光田母沢御用邸の庭を散策。防空壕(ごう)跡地などを懐かしみつつ美智子さまに当時の生活を説明した。住まいの仙洞御所(東京都港区)で日課としている朝食後の音読には、膨大な沖縄関係の蔵書の中から「戦争と沖縄」(池宮城秀意著)を選んだ。
10月に美智子さまが大腿骨上部を骨折すると、入院先の東京大病院を見舞い、ともに医師から説明を受けた。美智子さまは現在、つえがなくても歩けるまでに回復し、散策もお二人がそろう状態に戻った。
上皇さまは皇居にある生物学研究所に週2回通うなど、幼少期から関心のあるハゼの研究を続けている。この1年は新たに、江戸後期に長崎・出島に滞在したドイツ人医師シーボルトが日本国内で集めたハゼ類の標本に関心を寄せ、資料を集めている。
体調面では、心不全の診断指標「BNP」の数値がやや高く、少量の胸水貯留もある。服薬を含む内科的治療を受け、比較的安定した状態が続いているという。【山田奈緒】
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