企業の未公表の重要事実を基にインサイダー取引をしたり、親族に伝えたりしたとして、証券取引等監視委員会は23日、金融庁に出向中の裁判官と、東京証券取引所の元社員を金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に刑事告発した。
関係者によると、裁判官は4月に金融庁に出向し、企業開示課の課長補佐として、株式の公開買い付け(TOB)の審査を担当。職務上知ったTOB予定企業の株式の価格や期間に基づき、8月ごろまで、自己名義で株式の売買を繰り返していたとされる。
また、東京証券取引所の元社員は上場企業が公表する「適時開示」を担当する部署に所属。今年に入り、職務上知ったTOB情報を父親に繰り返し伝達し、父親は複数回、TOB予定企業の株式を売買していたとされる。
金商法は、投資判断に影響を及ぼすような上場企業の重要事実を職務上知った公務員らが、重要事実の公表前に対象企業の株取引をしたり、他人に重要事実を伝達したりすることを禁じている。【山田豊、安元久美子、北村秀徳、岩本桜】
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