有明海の養殖ノリを巡り、公正取引委員会が独占禁止法違反で佐賀、熊本両県の漁業団体に排除措置命令を出す方針を示したことに対し、団体側が命令の差し止めを求めた2件の訴訟の判決が9日、東京地裁であった。同地裁はいずれの訴えも却下した。
差し止めを求めたのは佐賀県有明海漁協と熊本県漁連。公取委は2022年6月、全量出荷の要請が生産者独自のルートでの販売を妨げた疑いがあるとして両団体に立ち入り検査した。23年11月に独禁法が禁じる「拘束条件付き取引」に当たるとして命令の処分案を通知した。
両団体は、命令が出れば消費者の信頼を失い、団体の事業存続が危うくなると主張したが、同地裁は「命令による信用の毀損は限定的」と指摘。命令が出た後に取り消し訴訟で争うこともできるとし、事前に差し止めなければ損失が生じるとはいえないと結論付けた。
両団体は個別出荷している組合員に制裁は科しておらず「拘束」には当たらないとも訴えていたが、判決はこの点について判断を示さなかった。
両団体は代理人を通じ「団体と生産者の取引が合法か違法か判断されなかった。今後も正当性を裁判を通じて説明していきたい」とコメントを出した。公取委は「主張が認められたと理解している」としている。〔共同〕
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