県が作成した特別市構想に対する見解をまとめたパンフレット=県ホームページから

 神奈川県は横浜、川崎、相模原の3政令市が創設を目指している特別自治市(特別市)構想について否定的な見解を示したパンフレットを作成した。表紙に「えっ!独立?」などの見出しが踊り、3市が県から飛び出すようなイメージ図も添えた。政令市の一部からは「分断をあおるようで見た目も刺激的だ」と反発する声も出ている。

 パンフレットはA4判で4ページ。約6000部を作成して県庁などで配布するとともに、4月下旬から県のホームページにも掲載している。

 特別市は、政令市の権限を強化して県からの独立性を高める構想だ。特別市が県の地方事務も全て担い、県税も市の収入とする。二重行政を解消し、効率的な行政サービスや積極的な政策展開を目指すのが狙い。指定都市市長会が制度化を求めている。

 一方、全国最多の3政令市を抱えている県は2022年3月に「見解」を公表。市町村のバックアップなど広域自治体の総合調整機能に支障をきたし、特別市以外の住民サービスが低下するなどとして「住民目線から見て法制度化することは妥当ではない」と主張している。

 ただこの見解はA4判17ページに及び、県議会でも「分かりやすく周知してほしい」との声が上がっていた。

 パンフレットでは、新型コロナウイルスなどの危機事象について、広域での入院・搬送調整がスムーズにできなくなるなどの事例を紹介した。さらに県側に巨額の財政不足が生じ、市町村が実施する医療費助成など行政サービスにも影響が生じるとの懸念を強調。「県と市町村がより一層、連携・強調しながら行政課題の解決に取り組むべき」と結んだ。

 パンフレットを見た横浜市のある担当者は「分断をあおるような刺激的な内容だ。政令市の主張とは相いれない」と不満げに話した。【蓬田正志】

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