ヒマラヤで高山植物の撮影を続ける嬬恋村の佐藤重雄さん(中央)とガイドら。2023年7月には標高4700メートルにあるマッチェルモ展望台を訪れた=佐藤さん提供

 ヒマラヤの迫力を特大の写真で体感してほしい――。群馬県嬬恋村の元村職員、佐藤重雄さん(68)=同村=が、高崎市でユニークな写真展を開く計画を立てている。ネパールの標高5000メートル付近で咲き乱れる高山植物や、「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤの山々を撮影した写真を、一辺1メートルを超える巨大サイズで紹介するものだ。

 ヒマラヤ山脈はネパールと中国・チベット自治区の境界に位置し、世界最高峰のエベレスト(8848メートル)やカンチェンジュンガ(8586メートル)、マナスル(8163メートル)など、標高7000~8000メートル級の峰が連なる。

 佐藤さんは1999年、ネパールに通い始めた。若い頃は国内で高山植物を撮影していたが、45歳からは中国など海外へ足を運んだ。その際、「ネパールの高山に、珍しい青いケシの花が咲く」と聞き、関心を持つようになった。

佐藤重雄さんが撮影したヒマラヤで咲く葵ケシ。青く透き通った花びらが特徴だ=佐藤さん提供

 「メコノプシス・ホリドゥラ」という種で、4000メートルを超える高地で生息する。ただし、開花するのは雨期の7月。天候不順で国内線の欠航が多く、1カ月程度の日程が必要だ。公務員時代は難しいため、最初は下見を兼ねて冬に訪れた。そこで見たヒマラヤの山々のスケールの大きさに驚き、魅了された。

 定年退職後の2016年、ようやく念願の夏に訪れ、青いケシと対面した。4800メートルで見つけた青い花は、花びらがガラス細工のように透き通っていた。感動のあまり、無心でシャッターを押した。ただ、一部が枯れていたり花が開く前だったりしたため、満足な写真を撮れるまで、5年も通い続けたという。

 「ヒマラヤの花は非常に色鮮やか。さらに標高が高く、強烈な太陽光を受ける。あれほど美しい光景はない」と佐藤さんは語る。

青いケシが咲く標高約5000メートルのチョ・オユーベースキャンプ付近の景色=佐藤重雄さん提供

 写真展は4年前から開催しているが、一辺数十センチの一般的なサイズだった。それではヒマラヤの山の迫力や魅力が伝わらないと感じ、一辺1メートル超の大判写真による展覧会を企画した。

 高崎市高松町の高崎シティギャラリーで、12月13~18日に大判10点を含む約100点を展示する。長野県上田市のサントミューゼでも10月10~14日に約30点を紹介する。いずれも入場無料。

 展覧会の資金を集めるクラウドファンディング(https://motion-gallery.net/projects/Himalayan5/updates)も実施している。佐藤さんは「展覧会は、ネパールでの撮影活動25年の集大成。多くの人にヒマラヤの魅力を伝えたい」と話している。【永山悦子】

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