政治団体「つばさの党」の事務所に入る警視庁の捜査員ら=東京都千代田区で2024年5月13日午前11時9分、藤井達也撮影

 政治団体「つばさの党」による衆院東京15区補欠選挙での活動は、警視庁の強制捜査に発展した。選挙妨害を巡っては、公選法の改正を求める意見や、規制強化による「拡大解釈」を懸念する声が出ている。

 つばさの党は、過激な選挙活動を自ら撮影して、動画投稿サイトに公開。陣営は動画視聴で得られる収益目的は否定している。演説を邪魔された陣営は、街頭演説の事前告知を見送るなど、選挙戦に影響が出た。

 捜査関係者は選挙の自由の尊重が大前提としつつ「ただまったく制限がないわけではない」とする。最高裁の判例では「聴衆が聞き取ることを不可能または困難にするもの」は演説の妨害だと判断。捜査幹部はつばさの党の活動を「言論や選挙の自由を逸脱する悪質な事案」と問題視する。

 自民党の茂木敏充幹事長は13日、「必要な法改正をやっていきたい。党としても罰則強化など、実効性のある対応を検討したい」と述べた。立憲民主党の泉健太代表は「現行法でできることを見定めながら、法案についても他党とやり取りしていきたい」とした。

政治団体「つばさの党」の事務所の家宅捜索を終え、押収した資料を運び出す警視庁の捜査員=東京都千代田区隼町2で2024年5月13日午後1時35分、森田采花撮影

 「著しく粗野または乱暴な言動」などの選挙妨害に対する規制を強化する公選法改正案を公表している日本維新の会の音喜多駿政調会長は自身のSNS(ネット交流サービス)に「捜査は評価できるものの遅きに失した。選挙期間中でも機動的に対処できるよう改善策を提案したい」と投稿。国民民主党の玉木雄一郎代表もSNSに「党としても法改正を議論しており、与野党協力して成立を図っていきたい」と投稿した。

 一方、共産党の小池晃書記局長は「言論の自由を脅かす行動。物理的な妨害は許されない」と非難した上で、維新の法改正案については「拡大解釈される可能性がある」と指摘。ヤジなども含めて「政権に盾突くような言論を規制していく方向につながりかねない」として、現行法での「厳格な対応」を主張した。【遠藤龍、源馬のぞみ、田中裕之、田辺佑介】

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