バンダイナムコホールディングス(HD)子会社の元社員による業務上横領事件で、業務用スマートフォンを無断で売却したとして逮捕された元同社社員、豊住陽一容疑者(59)=東京都町田市=の着服額が計約4億円に上るとみられることが14日、警視庁への取材で分かった。
逮捕容疑は2020年1〜12月ごろ、ゲームソフトの制作や開発を手掛けるバンダイナムコエンターテインメント(東京・港)が所有するスマホ約500台を買い取り店に持ち込んで売却し、約5400万円を横領した疑い。警視庁捜査2課によると、豊住容疑者は「間違いない」と容疑を認めている。
同課によると、豊住容疑者は着服した金をガールズバーや風俗店への支払いといった遊興費に充てていた。15〜22年の間に売却した端末は4000台超で、同課は同罪の公訴時効(7年)成立分も含め、着服額は約4億円に膨らむ可能性があるとみている。
同社は開発したゲームの動作状況を確認したり、イベントで参加者に体験してもらったりするために業務用のスマホを大量に所有。豊住容疑者は15年ごろから備品の管理業務を担当し、端末の調達に携わっていた。
バンダイナムコHDによると、21年秋ごろにシステム上で登録されている端末台数と実際の使用台数に差があることが判明し、内部調査を開始。豊住容疑者の不正が発覚した。
豊住容疑者は懲戒解雇され、バンダイナムコHDは23年1月、不正を公表した。同容疑者に損害賠償などを求める民事訴訟も起こした。
バンダイナムコHDは14日、「関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし深くおわび申し上げる」とのコメントを発表した。
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