京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の金子新教授らは、iPS細胞から免疫を抑制する「制御性T細胞」と同様の働きを持つ細胞を作製した。マウスでの実験で免疫の抑制効果を確認した。体の免疫機能が異常に高まることで発症するリウマチなどの治療法の開発に役立つ。

研究成果を発表する京都大学iPS細胞研究所の金子新教授㊧ら(5日、京都市)

免疫は体を異物や病原体から守る仕組みだが、何らかの原因で免疫機能が異常に高まると正常な細胞を攻撃してしまい、リウマチや炎症性腸疾患を発症することがある。現在は免疫抑制剤による治療が主流だが、制御性T細胞を使って免疫を抑える治療法が注目されている。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校などの研究で、iPS細胞から免疫反応の司令塔役であるヘルパーT細胞に類似した細胞を作製した事例が知られていた。

京大のチームは培養法を工夫して、iPS細胞を制御性T細胞と同様の働きを持つ細胞に分化させることに成功した。この細胞をヒトの免疫細胞とともにマウスの体内に注入したところ、免疫細胞がマウスの正常な細胞を攻撃するのを防いだ。

金子教授は「将来的に自己免疫性疾患の治療法につながる」と強調した。研究成果は米科学誌「セル・ステム・セル」に掲載した。

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