大分県日田市にある松原ダム=九州地方整備局提供

九州電力と国土交通省九州地方整備局は25日、筑後川水系の2つの既存ダムをつないで活用する形の揚水発電所の新設を検討すると発表した。山中に新たに揚水発電用のダムを整備する場合に比べて工期や工費を抑えられ、運転開始までの期間の短縮が見込める。

太陽光など再生可能エネルギーが普及するなか、揚水発電は電気を有効活用するための「自然の蓄電池」として役割が増している。九電などは現地調査や経済性の検証などを進め、年度内にも方向性を判断する。

九電と国が検討するのは、大分県日田市と熊本県小国町にまたがる下筌(しもうけ)ダムとそれよりも標高の低い松原ダム(日田市)をつなぐ水路と、両ダムの中間に設けるポンプや発電機などの整備。電力需要が少ない時に松原ダムの水を下筌ダムにくみ上げておき、需要の高まる時間に放流して発電する仕組みだ。

大分県日田市と熊本県小国町にまたがる下筌ダム=九州地方整備局提供

電力需要の調整に役立つことから、日中に太陽光などの発電設備の稼働を一時的に止める「出力制御」の低減が期待できる。また、両ダムを一体的に運用できるため、例えば大雨で松原ダムが満杯になった時は下筌ダムにくみ上げることで、緊急放流を減らせるなど治水面の効果も見込まれる。

揚水発電所ができれば九州で4カ所目。九電によると、新設した小丸川発電所(宮崎県木城町)の場合、環境影響調査を始めてから運転開始まで14年かかったが、既存ダムを活用できれば、発電開始までの期間を短縮できるという。

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