クラウドストライクが引き起こした世界的なIT障害は航空便の遅延や欠航を招いた=AP

【シリコンバレー=清水孝輔】米セキュリティー大手クラウドストライクは24日、同社のソフトが原因で発生した世界的なIT(情報技術)障害を巡り、原因に関する暫定的な検証結果を公表した。品質を検査するソフトにバグ(不具合)があり、問題のあるデータを含む更新ファイルを検知できずに配信したと説明した。

クラウドストライクは様々な手法のサイバー攻撃に素早く対処するため、更新ファイルを配信してセキュリティーソフトを最新のものにアップデートしている。更新ファイルが問題を起こさないよう配信前に品質を検査する仕組みがあるが、不具合で十分に機能しなかったという。

クラウドストライクは更新ファイルを配信する前のテスト体制を強化し、再発防止に努める考えを示した。今回のIT障害については今後も検証を続け、改めて原因に関する詳細な報告書を公表する方針だ。

クラウドストライクが19日に欠陥のあるファイルを配信すると、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」に問題が生じた。端末の画面が青くなって停止する「ブルースクリーン」状態が相次いだ。世界で850万台の端末に障害が起きた。

米連邦議会下院の複数の議員は22日、クラウドストライクのジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)に対し、議会で問題の原因について証言するよう要請する書簡を出した。IT障害の規模が大きかっただけに、同社に説明を求める声が出ている。

IT業界の影響は航空業界や金融業など企業活動に広がった。航空業界では週末にかけて大規模な遅延や欠航が相次いだ。米デルタ航空など一部の航空会社で復旧作業が遅れたこともあり、影響の度合いが大きくなった。

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