英国の世界遺産「ストーンヘンジ」=イングリッシュ・ヘリテッジ提供、アンドレ・パッテンデン撮影

豪カーティン大学と英アベリストウィス大学などは、英南西部にある世界遺産の環状遺跡「ストーンヘンジ」の巨石の1つが、英北部のスコットランド産であると石の化学分析から明らかにした。約750キロメートル離れた場所から海上輸送されたとみられ、約200キロメートル離れた場所が産地というこれまでの通説を覆す。

研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。ストーンヘンジの建設は新石器時代の紀元前3000年頃から始まり、その後2000年間にわたって増築や石の移動が繰り返された。

今回の研究では、遺跡の中心にある「祭壇石」と呼ばれる石を分析した。縦5メートル、横1メートルで、厚さが50センチメートル、重さは6トンにもなる。祭壇石は地面に埋め込まれていて、夏至の時期になると光が差し込む。

これまでの研究では、約200キロメートル離れた英ウェールズから運ばれたと考えられていた。研究チームは祭壇石の2つの断片を分析した。石に含まれるジルコンとアパタイト、ルチルの各鉱石の年代と組成割合を分析した。その結果、スコットランド北東部の岩石と類似しているとわかった。

大きな石の間にみえる祭壇石を調べた=英アベリストウィス大学ニック・ピアス教授提供

カーティン大のクリストファー・カークランド教授は「私たちの発見はこれまでの解釈に異議を唱え、スコットランド産であると実証した」と話す。当時の英国の地形や森林の性質から陸上輸送は難しく、海上輸送された可能性が高いと研究チームは考えている。ストーンヘンジが建てられた目的や用途は謎に包まれたままだ。

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