兵庫県丹波篠山市の約1億1千万年前(白亜紀前期)の地層から発見された恐竜の化石が、くちばし状の骨を持つ植物食恐竜「角竜類」の新属新種と判明したと、県立人と自然の博物館と岡山理科大などの研究チームが3日付の国際学術誌電子版に発表した。
トリケラトプスに代表される角竜類はアジア起源の恐竜とされ、約1億2600万〜1億年前のどこかで北米大陸へ渡ったと考えられている。同博物館の田中公教主任研究員は、今回の化石が北米の原始的な角竜類と極めて近縁だとし、角竜類が渡った時期の特定につながる重要な化石だとしている。
研究チームは2007〜23年に発見、確認された17点の骨を分析。肩の骨にコブがあるなど他にない特徴が3つあることが分かり、新属新種と判断した。トリケラトプスのような大きなツノはなく、全長は約80センチ。成長途中の若い個体と推定される。日本で発見された角竜類化石では最も保存状態が良いとしている。
「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」を意味するラテン語と、発掘調査を先導していた同博物館の故三枝春生主任研究員の名前から「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名された。
田中主任研究員によると、1億1千万年前ごろは極端な温暖化により北極域に広大な森林が存在。ユーラシア大陸東部から当時つながっていた北米大陸西部まで陸伝いに移動でき、生息域を広げたと考えられるという。
化石は11月10日まで同博物館で展示する予定。〔共同〕
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