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<国際宇宙ステーションに係留中のスターライナー。無人のはずの船内から「ソナー音のような脈動音」がスピーカー越しに聞こえてきたと宇宙飛行士が報告>
国際宇宙ステーション(ISS)に係留中の米ボーイング社の新型宇宙船「スターライナー」から発せられていた「奇妙な音」の正体が判明した。ISSの宇宙飛行士が報告したのは「ソナー音のような脈動音」。無人のはずのスターライナーから聞こえてきた謎めいた音を捉えた動画は、SNSにも投稿されて大きな話題となっていた。
■【動画】無人のはずの宇宙船の船内から「不気味な脈動音」が...ISSから報告された「謎の音」を捉えた音声動画
この謎の異音についてはISSに滞在中の宇宙飛行士ブッチ・ウィルモアが8月31日にヒューストンのミッションコントロールセンター(管制センター)に報告しており、その後この謎の音の録音がソーシャルメディア上にも出回っていた。
ウィルモアは管制センターへの通信の中で「スターライナーについて質問がある」と切り出し、「スピーカーから奇妙な雑音が聞こえてくる。その原因が分からない」と述べた。これに対して管制センターは「ソナー音のような脈動音」だと答えた。
NASAの広報担当者であるシェリル・ワーナーは本誌に対して、「国際宇宙ステーションに滞在中のNASA宇宙飛行士ブッチ・ウィルモアがボーイング社の宇宙船スターライナーのスピーカーから聞こえてくると言っていた脈動音は止まった」と述べた。
謎の音はスピーカーのフィードバック音と発表
「スピーカーのフィードバック音は、宇宙ステーションとスターライナー間の音声設定によるものだった。宇宙ステーションの音声システムは複雑で、複数の宇宙船やモジュールを接続する際にノイズやフィードバック音が発生するのはよくあることだ。乗組員は、通信システムから何らかの音が聞こえた場合には管制センターに連絡することになっている」
「ウィルモアが報告したスピーカーのフィードバック音が、乗組員やスターライナー、宇宙ステーションの運用に技術的な影響を及ぼすことはない。スターライナーは9月6日の金曜日以降に無人で宇宙ステーションを離れる予定だが、これにも影響はない」
ウィルモアとスニタ・「スニ」・ウィリアムズ両宇宙飛行士は6月に国際宇宙ステーションに到着した後、さまざまなトラブルにより同ステーションへの滞在が予定外に延長されている。
こうしたなかで週末、ウィルモアがジョンソン宇宙センターの管制センターに「奇妙な音」を報告していた。映像には、ウィルモアがヒューストンの管制官に「スピーカーから奇妙な音が聞こえる」と伝え、管制センターの方で原因を確認できるか尋ねる音声が記録されている。
「何が原因か分からないが、こちらとそちらの間の接続が原因なのだろうか」とウィルモアはさらに続けた。そして彼がマイクをスターライナーのスピーカーの近くに置くと、管制官はその音について「ソナー音のような脈動音」に聞こえると述べた。
ウィルモアがもう一度、問題の音を再生すると管制官は「しっかり確認できた。この録音をチームに渡して、結果が分かったら知らせる」と伝えた。
「宇宙船の中で聞きたくない音」と元宇宙飛行士
これまでに3回宇宙飛行のミッションを経験している元宇宙飛行士のクリス・ハドフィールドがこの映像の一部をX(旧ツイッター)に投稿し、映像はこれまでに180万回以上再生されている。
ハドフィールドは「宇宙船の中で聞きたくない音はいくつかあるが、ボーイング社のスターライナーが今出している音もその一つだ」と述べた。
この音をめぐってオンライン掲示板「レディット」には複数のスレッドが立ち上げられており、さまざまな憶測が書き込まれている。有名な映画シリーズ『エイリアン』に言及するコメントも多くみられる。
スターライナーは、民間企業の協力を得て国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を輸送するNASAの商業乗員輸送プログラムにおける重要な構成要素となる見通しだったが、度重なるトラブルに見舞われ、たびたびニュースで取り上げられている。
NASAは8月末、ウィルモアとウィリアムズの両宇宙飛行士は2025年2月までにスペースXが運用する別の宇宙船で地球に帰還すると発表した。スターライナーは9月上旬に無人で国際宇宙ステーションを離れ、帰還する予定だ。
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